映画監督 飯塚健の「日々散々」

2012年11月14日 更新

第15回『SOUMASAN 48』


あなたの誕生日を祝ってくれるひとは、世界に何人いますか?

逆にあなたが、祝福したいと思える誕生日は、世界に幾つありますか?

きっとその合計が、仲間の数です。

……っていきなり、怪しい自己啓発本のコピーみたいなコトを書いてすみません。というのも先日、或る方の誕生日パーティがありまして。ふとそんなことを思ったわけです。

だってサプライズを仕掛けるのって、思いの外大変じゃないですか。まず店のチョイス、その流れ、呼ぶメンバーの具合、どのタイミングでケーキを出すのか、そのサイズは? クラッカーは鳴らすのか? 肝心のプレゼントは? 各自用意か、みんなで出し合うパターンか? などなど、かかる手間ひま数知れずで。脚本とまではいかないまでも、それなりの段取り、進行プラン的なモノは絶対必要なわけで。なんたって1年の中のオンリーワンな1日なわけですから。ぐだぐだな会になんぞなったら、目も当てられません。

とすると、その段取りを考え、きちんと進行するには、やはりそれなりの愛がないとできないと思うのです。

ともあれ、そんなサプライズの主役は、日頃たいへんお世話になっている美術の相馬さん。(*相馬直樹。代表作に『20世紀少年』『海猿』など。飯塚とは『荒川アンダーザブリッジ』ほか3作品でタッグを組んでいる)

48回目の誕生日です。私は妻ともにお誘い頂き、プレゼントを持って参加しただけなのですが、いやまあしかし、そこはさすが美術部チームの段取り、素晴らしい流れでした。

まず前半戦「激ウマちゃんこ鍋を食べて、旭道山さんと握手」→ からのニューハーフな方々による「麗しきハーフタイムSHOW」→ からの後半戦、BARのVIPROOMにて「懐メロ VIVA DA PARTY with バースディケーキ」という、まさに『SOUMASAN 48 』とも呼ぶべき宴を、相馬さんの右腕・宣(のり)さんが見事巧みに分刻みで仕切ってくれまして。チーム荒川の懐かしき顔ぶれに加え、初めましての美術部スタッフの皆さんと、たいへん愉快な宵でありました。

思わず感極まり、涙腺を緩ませた相馬さんにはもちろん、VIP ROOMの飾り付けまでしていた美術部のみんな、それを完璧に仕切った宣さんの、「相馬さんへの愛」にとってもぐっときて、私もうるうるでした。

「元気があれば、なんでもできる」確かにそれも本当だけれど、「仲間がいれば、もっと色々できる」とも思った夜でした。

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第5回『人はそれでも移動する』

第4回『モノガタリ』

第3回『信じるチカラ』

第2回『本気は、出すためにある』

第1回『3連チャン』

DVD情報

『荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE スタンダードエディション』
出演:林遣都 桐谷美玲
発売日:8月8日
価格:¥3990(税込)
発売・販売元:アニプレックス
(C)2012 中村光/スクウェアエニックス・AUTBパートナーズ

筆者プロフィール

飯塚健(いいづか けん)
1979生まれ。映画監督。脚本家。小説家。主な作品に、『Summer Nude』、『荒川アンダーザブリッジ』(ドラマ・映画共に)、『REPLAY&DESTROY』、『FUNNY BUNNY』(舞台)などがある。

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