映画監督 飯塚健の「日々散々」

2012年10月03日 更新

第9回『Live & Session』


どうもこんにちは、2週間振りの飯塚です。

あ…。こんばんはのかたもいらっしゃるかも知れませんね。どちらにしても、2週間振りの飯塚です。

先週まで、2つの作品の撮影現場が並行してたりで、中2の恋以上にてんやわんやの日々でした。いやマジで、それこそ日々散々って感じだったわけでして。

なぜなら、1つが11月から配信開始のBee TVのコント、もう1つが10月下旬OAのTBSのドラマ、というまったく別ベクトルの現場だったわけで。我ながら、「なんちゅうスケジュールじゃ」「今回ばかりはマジヤベえっす」と思ったりもしましたが、いやはやこれが意外や意外、人間やればなんとかなるもんだ。

例えば、『コント』→『コント』→『からのドラマ』→『逆にコント』……そんな奇天烈貴重な4日間もあったのですが、いつもどおり、いや、いつも以上にこれが楽しかったのです。特に3日目の『からのドラマ』の際は、「うっかりコントを撮らんようにせにゃいかん!!」を合い言葉に、ROCKなLIVEシーンを撮ったりしてました。だからだと信じたいのは、その日の降水確率は50%以上だったのですが、空は終日見事に晴れ渡り、抜群の夕景SKYが撮れました。ぽつりと数粒の雨が墜ちてきたのは、すべてのナイター撮影が終わったのと同時でした。

いずれにしても、「2つの作品を同時に撮影する」などという、スーパー無謀なことができたのは、撮影(カメラマン)・相馬さんのおかげです。相馬さんとは『荒川アンダーザブリッジ』でタッグを組んだ以降、すべての作品で現場を共にしてきました。それは今回も変わらずで、コントにもドラマにも唯一の共通スタッフとして参加して頂き、やはり監督とカメラマンのコンビネーションは現場の屋台骨なのだ、と改めて実感できる、素晴らしきかな“Session”ができました。

そんなこんなでひとまず数日前、コントの方は無事オールアップを迎えられました。12本、ぶっ飛んだモノが撮れたと思います。ちなみに全作、ワンカットです。しかもFIX(固定画面)。それなのに、なかには5分以上のモノもあります。画面が動かないからこその難しさ=つまり、仕掛けごと(何かの紙を風で飛ばしたり、鼻血の噴出など)や俳優部の配置や動き方なども、普通にカットを割って撮るのとはワケが違います。

だからこそ、みんなの集中のタマモノです。また一つ、愉快なチームが生まれました。

2冊の脚本を手に走り回るのは最高楽しかったっす。

明日のドラマの撮影も、Live&Sessionの精神を忘れずに走ります。どちらの作品も情報解禁を楽しみにして頂けたら嬉しいです。

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第4回『モノガタリ』

第3回『信じるチカラ』

第2回『本気は、出すためにある』

第1回『3連チャン』

DVD情報

『荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE スタンダードエディション』
出演:林遣都 桐谷美玲
発売日:8月8日
価格:¥3990(税込)
発売・販売元:アニプレックス
(C)2012 中村光/スクウェアエニックス・AUTBパートナーズ

筆者プロフィール

飯塚健(いいづか けん)
1979生まれ。映画監督。脚本家。小説家。主な作品に、『Summer Nude』、『荒川アンダーザブリッジ』(ドラマ・映画共に)、『REPLAY&DESTROY』、『FUNNY BUNNY』(舞台)などがある。

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