夏休み映画は、コレ観ておけばいい! くらいの勢いでヒット街道爆走中の『スター・トレック イントゥ・ダークネス』! 連続インタビュー第2弾は、同シリーズで屈指の人気を誇るキャラクター、バルカン人のスポックを演じるザカリー・クイントを直撃! 大変な局面を迎えたスポック役を回想するとともに、天才監督J・J・エイブラムスを徹底解剖するザカリー! めちゃくちゃ仕事人間で、ビジネスマンでもあるザカリーに迫ります!

 

■今回のスポックは、自分の中の人間性を受容するフェーズに入ったわけだ!!

Q:スポックの成長にスポットが当たっていますよね! ご自分で観て、いかがでしたか?

 

そうだね。僕としても本当に気に入った作品に仕上がっていて、このキャラクターが成長を遂げていく展開を監督のJJを含め、全員で手伝ってくれたことをうれしく思っているよ。

 

Q:スポックは感情が表に出ないので、成長過程の表現法が難しいキャラクターですよね?

 

自分が演じる段階では、彼の人間性を把握することが重要だった。そこに忠実であることも大切だと思うけれども、今回はまた、新たな領域へ突入するという意味もあったわけだ。今回のスポックは肉体的に、どういう言語を使うかということを定義する必要が僕の中にあった。もともとスポックは静的なキャラクターで、省エネ男だよ(笑)。にもかかわらず、疾走して激闘するシーンが今回はあったので、そういう機会を得たことをうれしくも思う。

 

Q:この今回のスポックの劇的な変化は、次回作でも担当するご本人としては、いかがです?

 

前作はスポックが自身の人間性に気付いて、そことの葛藤劇がメインだったね。今作では、彼が自身の人間性を受容する段階に入っていると思った。結果的には、彼はもろい自分を認識して、それをさらけ出すことになってしまう。それは僕自身、うれしかったことだよ。

 

■あれだけの作業を一人でこなしてしまうJJは、特異なクリーチャーだよ(笑)!!

 

Q:ところでエイブラムス監督は、日本でも大人気ですわ。彼の作品は卒がなく、観て損した気分にならない点が好印象ですが、出演者の当事者としては、どういう感想でしょうか?

 

JJは人として監督として、本当に素晴らしい人だね。あらゆる意味で、だ。そして、すごい才能に長けているコトは、明白だ。そして、すごく野心的で、恐れを知らずに大胆に物語を伝えることをする人だ。また、観客のことをとても尊重していて、最大限の体験をしていただくために、あえてミステリー的な要素などを確保していくことも忘れないわけだ。だから、彼の作品は話の展開をわかって観に行くことはなくて、純粋に鑑賞を楽しめるようになっている。あれだけの作業を一人でこなしてしまう彼は、特異なクリーチャーだよ(笑)。その彼とこうして一緒に仕事ができることも、クリエイターとして光栄なことだよ。

 

Q:余談ですけれど、JJをUSSエンタープライズ号のクルーで言うと、誰に近いでしょうか?

 

全員じゃないの(笑)。JJは全員の要素を持っていて、スコッティのように面白く、カークのように情熱的、スポックのようにクール。本当に彼は、全クルーに当てはまるよね(笑)!

 

■直近ではブロードウェイの舞台、いずれは監督業にもガンガン進出するぜ!!

Q:次回作は人間性に覚醒した後のスポックを演じますよね? そのことについてはどう?

 

いや、そうとも限らないよ。なぜなら今回の2作目で自分の人間性を受容したけれども、それはあくまでバルカン人である自分に、その要素を統合している面があるので、バルカンという種族に対する彼の想いも当然あるわけだ。ストーリーで考えれば、1作目で彼の故郷が消滅してしまい、3作目の脚本は完成していないので何も言えないが、あくまでも可能性としてバルカン人の自分という側面に戻って、自分の種族の再構築などを考えるだろう。

 

Q:最後になりますが、今後スポック役や俳優業以外で挑戦してみたいことはありますか?

 

今現在、俳優業以外に製作・プロデュース業をしているけれど、2008年に製作会社を立ち上げて、4本映画を製作した。最初の作品は『マージン・コール』(11・日本未公開)といって、アカデミー賞の脚本賞へのノミネートのほか、さまざまなインディペンデントの賞を獲って、とても成功を収めた作品だった。いずれは監督業にも進出したいと思っていて、近いうちにブロードウェイの舞台に出る予定もあるよ。だから、自分としては多様性がある仕事をしていたい。今までは本当に恵まれた環境で仕事をして、ここまで歩いていると思うので、今後も最善を尽くすことで多様性を持って仕事をしていければと思っているよ。

 

■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

 

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