ブラウザゲームもここまできたかと思わせるスクウェア・エニックスの意欲作「クリスタル◆コンクエスト」シークレットβテストでのプレイレポート掲載
- 更新日:2012年8月24日
スクウェア・エニックスは,2012年初秋のサービス開始を予定している,ブラウザ型オンライン横スクロールアクション「クリスタル◆コンクエスト」のクローズドβテスター募集を開始した。
本作はブラウザゲームなのでクライアントのダウンロードは不要。思い立ったときに気軽に集団戦が楽しめる
ヴェルシオンと呼ばれる世界を舞台に,国家に属した傭兵(プレイヤー)が,剣や魔法,そして召喚獣を駆使してクリスタルを巡って戦い合う。そんな本作の特徴は,GPUによる高速描画が可能になったFlash Player 11上で美しいグラフィックス,リッチなエフェクトを実現し,さらに多人数による完全同期の対人戦が楽しめることだ。しかし,それを実現するためのハードルは高かったようで,4月に実施されたプレミアムαテストの段階では処理の重さが問題点の一つとして挙げられていた。
その後,しばらく動きのなかった本作だが,プレミアムαテストで出た問題点の改善や,3番目の国家の追加などが行われ,7月5日(※)に「シークレットβテスト」が実施されたのだ。本稿では,このシークレットβテストのプレイレポートをCBT募集の開始に合わせて掲載したので,本作がどんな作品なのか,その見どころやゲームシステムを確認してほしい。
(※当初テストは5日のみの予定だったが,不具合修正などでサーバーメンテナンスが複数回行われてプレイ時間が短くなったため,6日にシークレットβ2テストが行われた)
本作はブラウザゲームなのでクライアントのダウンロードは不要。思い立ったときに気軽に集団戦が楽しめる
「クリスタル◆コンクエスト」公式サイト
※PCサイト
ブラウザゲームで“横スクロールアクション”+“PvP”が楽しめる
本作は,ヴェルシオンと呼ばれる世界を舞台に,奇跡の力を持つという「クリスタル」を巡る「イストリア王国」「ル・シェイン王国」「ギラード王国」という3国間の戦争を描いた作品だ(詳細な世界観は未公開)。プレイヤー(キャラクター)は,いずれかの国に傭兵として所属し,戦い抜くことになる。戦闘はリアルタイムで進行し,仲間との連携が重要な横スクロール型のオンラインアクションゲームだ。
基本的な画面構成は,2D風の横スクロールアクションを踏襲。左クリックで移動/攻撃が行え,一度戦闘を仕掛けた相手にオートで攻撃し続ける仕様だ(左クリックでの移動や右クリックで中断可能)。そのほかにも,右クリックを押し続けているあいだの継続移動や,ダブルクリックによるダッシュ,右クリックでステータス詳細の確認など,必要な操作はマウスのみで行える。こうしたFlash Playerで動作するゲームにおいて,右クリック操作をサポートしているのは比較的珍しい。
なお今後行われるクローズドβテストでは,キーボードのショートカット機能が導入されるとのこと。スキルを使うときなど,頻繁にマウスを移動させるのがちょっと大変だったので,これは嬉しい変更点だ。
キャラクターの操作はマウスだけで可能。見てのとおり横スクロールのアクションゲームそのものだ
キャラクターの攻撃といったアクションに関しては,事前に4つのスロットにアクティブスキルをセットすることで,戦闘時にさまざまな効果を発動できる。スキルの使用後は,再使用まで数秒~数十秒のクールタイムが生じるが,回数に制限はないのでガンガン使っていこう。一方,通常よりも強力な効果が得られる代わりに,一回の戦闘で一度しか使えない「ワイルドカード」というスロットもあり,こちらにはスキルを5つセットできる。
通常スキルとワイルドカードの違いはカードに例えると分かりやすいかもしれない。通常のスキルとしてデッキに入れたカードは,使っても手札に残ったままで,ワイルドカードに入れたカードは使ったら山に捨てなければならない仕様だ(実際に,スキルや装備はカードのように扱う)。
これらにセットするスキルはとくに通常用スキル,ワイルドカード用といった区別はなく,どちらにセットするかで,発動時の効果の大きさが変わるという仕組みだ。
ただし,ワイルドカードの並び順は戦場に入るときにランダムで決定し,手前から順に使わなければならなず,また同じカードを複数枚セットできない(通常のスロットも同様。通常とワイルドカードに1枚ずつセットは可能)という制限がある。しかもワイルドカードでもクールタイムが発生するため,いざというときに必要なスキルが使えない可能性もある。ワイルドカードは強力だが,使い勝手はあまり良くないわけだ。いっそのこと,使いたいスキル1枚だけを,ワイルドカードに設定しておくといいかもしれない。
一度ターゲットすれば,自動で追尾/攻撃し続けてくれる
(イベントを除き)最大12名対12名によるチーム戦がメインコンテンツとなる。マップ内の支配状況を見ながら戦略を練ろう
続いて,メインコンテンツである戦場のゲームルールを見ていこう。本作の戦場は,最大で12名vs12名のチームが争うPvPコンテンツとなっている。戦場がスタートすると敵味方が入り混じる激戦となり,プレイヤーは最終的に敵の本拠地を破壊しなくてはならない。なお,プレイヤーが倒れた場合も自チーム本拠地の耐久力が減少する。制限時間内に決着が付かない場合,本拠地の耐久力が多いほうが勝利となる。
ロビー用のエリアで“出撃”ボタンを押すとマッチングが開始。後は自動で相手チームを探し,ゲームスタート
戦場を利用する際のマッチングは自動化されており,プレイヤーがどの戦場に入ればいいのかと迷うことはないだろう。気軽に参戦できるこのシステムは嬉しいところだ。
ただ本作では,FPSなどのようにマッチングしてからヨーイドンになるのではなく,すでに対戦が始まっている戦場に入ることもある。そのため,さあ戦おう! と思ったら直後に勝敗が決していたなんてことも。また,まだシークレットβテストということで,バグの可能性もあるのだが,敵もしくは味方が異常に少ない戦場に当たることもあった。実力のバランスは合っていても,人数バランスが合っていないのでは,それこそ戦いにならないので,今後の修正に期待したいところだ。
マップ内は,戦争系MMORPGのような広い戦場というわけではなく,移動していれば頻繁に遭遇戦が発生する。ときには画面内に10体以上のキャラクターが入り乱れることも
スキルを発動すると頭上にメッセージが表示される。敵のスキル発動を見て対策したり,味方と連携したりといったことも重要だ
すこし話が逸れてしまったが,戦場突入後の説明に戻ろう。戦場内は参加したマップの規模によって数は異なるが,複数のエリアに区分けされている。それぞのエリアには勝敗を分ける本拠地のほか,各エリアには召喚獣を呼び出すために必要な「クリスタル」や「召喚施設」,敵を自動で迎撃する「アロータワー」,そしてプレイヤーキャラクターの復活ポイントになる「砦」といった施設が点在している。プレイヤーはこうした施設を破壊,もしくは奪い合いながら,お互いの本拠地を狙っていく。
各区域にあるクリスタルを攻撃することで支配下に置ける。もちろん敵もクリスタルを狙ってくるので,必然的にバトルが発生する
ときには自軍が得たクリスタルを消費し,「召喚獣」を呼び出して戦うことも。キャラクターのクラスに関係なくチームに貢献できる
戦いの決着がつくと,プレイヤーキャラクターは戦果に応じた経験値を獲得し,一定数まで溜まるとレベルがアップする。また,ゲーム内マネーの「リーフ」も獲得でき,ロビーでそれと引き換えに装備やスキルなどが入手できる。アイテムショップはガチャに近いシステムで,装備/スキルといったカテゴリーごとのアイテムがランダムで手に入る仕組みだ。アイテムの属性には,ノーマル/レアといったレアリティも存在する。必要のないアイテムは,合成の素材に回そう。同じ装備でも「○○+1」といった具体に,合成でどんどん強化を図っていける。
さて,ここまで大まかなゲームの流れを紹介したが,本作の戦場における大きな特徴は,個人のテクニックよりも,チームワークが重要視されている点だろう。マップの広さは限られているので敵との遭遇戦が必然的に起こるが,参加人数が多いため,どんなに強化したキャラクターでも多勢に無勢では歯が立たない。いわゆる一騎当千的な戦い方はできず,味方PCと一緒に行動したり,アロータワーのそばにいたりしたほうが,はるかに有利に戦えるのだ。
またスキルには,チームプレイ向きの効果が多数用意されており,自分の勝利よりも,自国の勝利を目指すという明確な目標が示されている。
このあたりのコンセプトは,同じくスクウェア・エニックスが手がけた「MONSTER×DRAGON」や,同社が監修している「ファンタジーアース ゼロ」などに通じるものがある。もっとも,それもそのはず。本作のプロデューサーである小山博典氏は,「ファンタジーアース ゼロ」でプロデューサーを務めていたこともある人物だ。
ロビーエリアで装備やスキルなどを準備する。強力になったキャラクターで次の戦場へと赴こう
戦術性を重視して作られた7種類のクラス
今回のシークレットβテストに参加してとくに印象に残ったのは,ブラウザゲームでありながら,ゲームシステムの細部がかなり作り込まれていることだ。例えば,キャラクター作成時のカスタマイズの幅に関しては,性別をはじめ髪型や髪色,フェイスタイプや肌の色が変えられる。もちろん,身につけた装備品も随時キャラクターに反映されたりと,クライアント型の作品に勝るとも劣らない部分も数多く見られる。
クラスに関しては,キャラクターの作成時に「ウォリアー」「スカウト」「プリースト」「ソーサラー」の中から選択する。また,ロビーエリアでは自由にクラス変更が可能で,今回のテストプレイでは「ナイト」「スナイパー」「トリックスター」を加えた,7種類のクラスが楽しめた。ここでは各クラスの特徴を見ていこう。
●ウォリアー
近接タイプのアタッカー。攻撃力と防御力が高く,戦闘開始後はオートで攻撃し続けてくれる本作では,初心者でも比較的プレイしやすいクラスだ。遠距離攻撃の相手に対しては,短時間のダッシュや敵にタックルしたりなど,距離を詰めるスキルが重宝する。
●スカウト
弓や短剣を得意とするクラス。敵PCに対する戦闘能力は高くないが,建築物に対しては効果的にダメージが与えられ,丸ごと“乗っ取る”スキルが重宝する。素早い移動と広い視界を持ち,敵陣に進入しチャットで戦況を報告するなど,“斥候”としての活躍も期待できる。
●プリースト
攻撃面の戦闘力はほとんどないものの,味方メンバーに対するさまざまなサポートが行えるクラス。HPの回復/リジェネや状態異常の回復といったオーソドックスなものから,防御力や移動速度の上昇,傷を負ったPCを味方の本拠地へワープで逃がすといったことも可能。
●ソーサラー
単体や範囲を対象とした,さまざまな攻撃魔法を駆使するクラス。攻撃魔法は炎,氷,雷などのジャンルがあり,ダメージディーラーとして随一の能力を誇る。ただし近接戦闘は苦手で,敵PCから集中的に狙われるとツラい。
●ナイト
タンク役のクラス。ウォリアーからアタッカーとしての能力を幾分削る代わりに,自分や味方メンバーを守るための能力が備わっている。自身の防御力や最大HP値を上昇させたり,味方の被ダメージを軽減するなど,集団戦で一人いると心強い。
●スナイパー
隠密行動と一撃必殺を得意とするクラス。移動速度こそ遅いものの,自身の姿を隠して移動したり,建築物や召喚獣などに対して大ダメージを与えたりできる。ただし防御力は低く,敵に見つかると苦戦を強いられがちで,強さと脆さがはっきりしている。
●トリックスター
敵を弱体化させるためのさまざまなスキルを繰り出せる。敵をスタンさせたり,吹き飛ばしたり,視界を狭めたり,移動速度を減退させるなど,相手にとっていやらしい戦い方を得意とする。ただし直接ダメージを与える能力は低く,味方との連携プレイが必須だ。
近接タイプのクラスは,ダッシュで敵との間隔を詰めたり,引き離したり,スキルで弱体化させたりといった駆け引きが大切
遠隔攻撃タイプのクラスは,攻撃力が高いものの防御力が低め。可能ならばほかのPCと共に行動し,安全な位置取りを心がけたい
プリーストやトリックスターは,スキル構成によっては一人ではあまり活躍できない。その代わり味方との連携で大きく貢献できる
各クラスにはそれぞれ専用のスキルが用意されており,同じクラスでも,単独行動用とチームワーク用のスペックを追求していくとことで,スキル構成は大きく違ってくるだろう。ほかにも,装備して出撃すると消費してしまう「魔石」や,ポーションといった消耗品もあり,プレイヤーが選択できるバリエーションは思いのほか広い。
ちなみにクラス変更を行うと,以前のクラスで装備していた装備品やスキルスロットは保存される。なので,元のクラスに戻っても設定し直す必要がないのは嬉しいところだ。
とくにペナルティなしでクラス変更が可能。アイテムやスキルも別個に用意されており,さまざまな役割を一人のキャラクターで楽しめる
戦術性を重視して作られた7種類のクラス
さて,プレイして全体的に感じたのは,やはりグラフィックスやサウンドなどの演出が,ブラウザゲームにしてはゴージャスだということだ。戦争時は,画面解像度を最大で1600×800まで上げられるので,戦闘時の視認性も申し分ない。
操作システムも,一般的なオンラインゲームをプレイしていればすぐに理解できるくらいなので,誰でも戸惑うことなく遊べるだろう。事実,今回のテストプレイでは,キャラクター作成直後に簡単なチュートリアルがある以外,戦場などの詳しいルールなどは説明されていなかったのだが,適当に出撃しているうちに把握できていた。このようにプレイを重ねていくことで,初心者でも少しずつ戦場全体を見渡したり,味方PCとの連携に気を配れるようになるだろう。
また,本作はクラス変更が手軽に行えるので,プリーストの回復/補助や,トリックスターの弱体化などといった,チームプレイの醍醐味も簡単に味わえる。こうした対人戦をメインとした作品は,各クラスの役割が戦闘において重要になるだけに,必要に応じて簡単にクラス変更ができるのは嬉しいところだ。
3つの国が争うというのが基本コンセプト。プレイヤー数が偏った場合のバランス調整は今後の課題の一つか
なお,本作の公式サイトでは,テストプレイを通じてのフィードバックや,今後の開発方針などが逐次報告されている。こうした情報が公開されるのは,プレイヤーには嬉しいところだ。正式サービスに向けて,より改善されていくことに期待したい。
また冒頭でも述べたとおり,クローズドβテストのテスター募集が開始されている。クローズドβテストでは,2008年以前(2006年まで)のGPUにも対応したFlash Player 11.4を使用することで,対象PCでの処理速度が改善されるなど,さまざまな調整が行われているとのこと。本稿で興味を持った人は,下のリンクボタンから応募しておこう。シークレットβテストの参加者は,応募なしでそのまま参加可能だ。
「クリスタル◆コンクエスト」公式サイト
※PCサイト
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※この記事は、4Gamer.netより提供された情報をもとに、テレビ朝日が改変・編集し掲載しています。元記事はこちら