今度の「FIFA 13」では,予想もしないことが起きる。人気シリーズの最新作は,予測不可能なサッカーの面白さを追求

  • 更新日:2012年9月22日

 エレクトロニック・アーツは,現在開催中の東京ゲームショウ2012でプレス向け説明会を実施し,日本では2012年10月18日の発売を予定しているサッカーゲーム「FIFA 13」(PlayStation 3/Xbox 360/PS Vita/PSP)の紹介を行った。1993年にリリースされた「FIFA '94」以来,20年近く続くシリーズであり,欧米(とくにヨーロッパ)では絶大な人気を誇っている。EA SPORTSブランドの中でも,アメリカンフットボールをテーマにした「Madden NFL」と並ぶポピュラーなタイトルだ。



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 FIFA(国際サッカー連盟)公認のサッカーゲームであり,チームやスタジアムなど,すべて実在するものが登場することが特徴。また,グラフィックスや選手の動きのアニメーションなども凝ったものになっており,力入ってるなあ。
 とはいえ,我々メディアにとって,新作と前作との相違点が分かりづらくなっているのも事実じゃないかという気がする。データやゲームモードが増えたり,ソーシャル機能を充実させたりなど,時代に応じてさまざまに変化しているのだが,早い話,「FIFA 12」が非常に良くできているので,変えてくるとしても枝葉末節部分だろうという気がしていたのだ。




 ゲームの説明をしてくれたのは,FIFAシリーズのエグゼクティブプロデューサーを務める牧田和也氏で,毎年東京ゲームショウの時期にはカナダのスタジオから帰国して新作の紹介をしてくれるので,ファンにはすっかりおなじみだろう。そして今回はもう一人,シニアソフトエンジニアを務める山下崇彦氏も来日した。ちなみに,スタジオには,お二人以外にもかなりの数の日本人スタッフがいて,開発の中心になっているとのこと。なんだったらもう国産サッカーゲームと言ってもいいくらいなのだ。たぶん。

 さっそく牧田氏にFIFA 13の,シリーズ従来作との相違点を聞くと「予想しないことが起きること」とのお答え。そして,次のような例を教えてくれた。

 2011年のプレミアリーグでは,マンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッドが激しく優勝を争っていた。いわゆるマンチェスターレースだ。最終節,1位のマンチェスター・シティはQPRとの試合を行い,2位であるマンチェスター・ユナイテッドの試合も同日のほぼ同時刻に始まった。QPRは強いチームではなく,大方の予想はマンチェスター・シティの勝利だったが,勝てばプレミアリーグ残留というQPRも必死で攻めた結果,QPRが1点リードしたままアディショナルタイムに突入するという予想外の事態が起きたのだ。同時刻,マンチェスター・ユナイテッドは1対0で勝利を収め,プレミアリーグ優勝かと歓喜していた。得失点差で,たとえ引き分けてもマンチェスター・シティは2位に落ちるからだ。ところが,マンチェスター・シティはここで驚異的ながんばりを見せ,アディショナルタイムに2点を入れて劇的な逆転勝利を飾った。

 ……と,サッカーファンには釈迦に説法だったかもしれないが,牧田氏は「これがサッカーなんです」と力を込めた。予想もしなかったことが起きるサッカー,これをゲームで実現しようとしたのがFIFA 13というわけだ。
 ただし,これはちょっと危険な方向性かも知れない。ゲームに習熟し,選手達を思い通りに動かせるようになれば勝てるのがゲームというものだろう。FIFA 12までは,いかに気持ちよく操作ができるかに力点が置かれていたが,そこに「予測不可能」な要素を持ち込んでしまうと,いくら練習しても勝てず,ストレスが溜まってしまうといういう状況に陥ってしまう。もちろん,そういうバランスについては十分に検討したとのことだ。

 ともあれ,今回は「駆け引き」に重点が置かれており,例えばボールの奪い合いや,体の当て方,選手の動きなどにもかなり改善が加えられている。どんなうまい選手でも,難しいトラップに失敗することがあり,こぼれ球を狙って後列から敵選手が走ってきたりする。狭いエリアにおいての駆け引きにも力が入っており,あえてスペースを与えたり,反対に切り込んできたりもするのだ。




 山下氏によれば,選手達は2手先を読んで動くとのことだが,これもまたバランス調整の難しい部分だ。プレイヤーが1手先しか読めなければ,AIの動きがおかしい,ということにもなりかねないからだ。また,ゲームエンジンもリファインされ,モーションもかなり増やされている。もちろん,できることが増えたからといって操作が煩雑になっては元も子もないので,そのあたりの練り込みにも時間がかかっている。



 このようにして作られたFIFA 13だが,牧田氏によれば,これまでになかったような手触りになり,驚くほど面白さが増したとのこと。何が起きるか分からない緊張感は,FIFA 13に,「これまでなかったようなゲームらしさ」を与えたようだ。個人的に最も気に入ったのは,なにせ予測不可能なだけに,「筆者のようなビギナーでもなんとかなる(かもしれない)」というところかな。サッカーゲームをプレイしてみたいけど難しそうだと思っている人,あるいは走ると息切れしてしまうという人は,このFIFA13を試してみるといいかもしれない。

 このほか,「キャリアモード」の改良や,オンライン機能/ライブ機能の強化など,さまざまな部分に手が加えられているが,これはまたいずれ稿を改めて紹介したい。東京ゲームショウ2012では,セガブースで試遊が可能になっているので,どのくらい予測不能なのか,ぜひプレイして確認してほしいと思う。


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※この記事は、4Gamer.netより提供された情報をもとに、テレビ朝日が改変・編集し掲載しています。元記事はこちら

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