[E3 2012]いよいよE3 2012が開催。岐路に立つ世界のゲーム業界。今年のE3は我々に何を見せてくれるのか
- 更新日:2012年6月4日
北米最大のゲームイベント、E3 2012が2012年6月5日から7日までの3日間、ロサンゼルスのコンベンションセンターで開催される。E3を主催する北米の業界団体、Entertainment Software Association(ESA)の会員会社を中心とした約200社が出展し、世界100か国からゲーム関係者が集まる、全米最大規模のゲームイベントだ。
昨年(2011年)の来場者数は約4万7000人と発表されており、これは20万人以上を数える東京ゲームショウや、ドイツのGamescomに比べれば少ないものの、一般公開が行われていない、メディアやバイヤー向けのイベントであることを考えれば、かなりの数だ。
E3 2012公式サイト
開催前には、Sony Computer Entertainment、Microsoft、そして任天堂というプラットフォームホルダー3社がロサンゼルス市内でカンファレンスを開催し、さらに、Electronic ArtsやUbisoft Entertainmentなどの大手パブリッシャも独自のイベントを行い、新作ハードやタイトルを発表する予定だ。これはE3の恒例ともいえる光景であり、この時期、ロサンゼルスには世界中のゲーム情報が集中することになる。
さて、2012年のE3最大のトピックはなんといっても、任天堂のWii Uだろう。据え置き型のコンシューマ機としては、Wii以来6年ぶりとなるWii Uは、昨年のE3 2011で概要が発表されて話題になり、今回のE3で「最終形」が明らかにされると予告されていた。任天堂はカンファレンスの開催を予定していたが、それに先駆けるかたちでWii Uのコンセプトを「Nintendo Direct Pre E3 2012」で配信するなど、例年以上に力をいれている。
モバイル機向けゲームの急速な拡大や、ソーシャルゲームの普及によって、ゲームとそれを取り巻く市場が変化しつつある現在、任天堂が次世代のゲームに向けてどのような提案をしてくるのが、世界中の興味が集まっているといっていいだろう。
任天堂以外のプラットフォームホルダーについては、PlayStation VitaをリリースしたSCEが、Vita対応タイトルを積極的に押し出してくると思われるほか、Microsoftもまた、世界累計で1000万台以上の販売実績を記録したKinectを中心にしたラインナップをアピールするだろう。PlayStation 3およびXbox 360の後継機については、E3での発表はないというという関係者の発言が聞こえてくるものの、可能性がまったくないわけともいえず、毎年のことだが、行ってみるまで分からない。
各社が2012年後半から2013年にかけて発売を予定している新作タイトルも出そろってきた。大作や話題作が次々に登場した2011年の翌年ということもあって、谷間の年ではないかと言われていたが、それでも見るべきタイトルは出揃いつつある。
どうしてもメディアは人気シリーズの最新作に目がいってしまうが、確実だと思われているシリーズでも、例えば「Call of Duty: Black Ops 2」が戦場を近未来に移し、「Assassin's Creed III」が舞台となる時代を中世からアメリカ独立戦争にするなど、マンネリに陥らないような試みに挑戦している。デベロッパが変更になった「Halo 4」や、6年ぶりの現役復帰となる「HITMAN ABSOLUTION」なども、シリーズ作ではあるが、従来作からの進歩を強調しそうだ。
PCゲーマーにとっては、シミュレーションゲームとしての原点回帰を目指す「SimCity」や、The Elder Scrollsの世界観を使った「The Elder Scrolls Online」などが気になるところだろう。
さらに、「Dishonored」「Aliens: Colonial Marines」、そして「Sleeping Dogs」など、必ずしも超大作とは呼べないかもしれないが、期待感の高まる完全新IPタイトルも少なくないし、「Dead Space 3」「Gears of War Project 」など、タイトルが発表されただけの作品も、E3での詳細説明が楽しみだ。昨年に比べ、出展タイトル数が減った印象は確かにあるが、期待作や注目作は例年並みにそろっている。もちろん、例えば噂されているQuantic Dreamの新作など、事前に発表されない「サプライズ」も多数あるはずで、こちらもまた、フタを開けてみるまでは分からない。
一時期、規模を縮小しながらも、再び現在のような大掛かりなイベントに戻ったE3だが、劇的な変化を続けるゲーム業界の動きについていけていないのではないかという批判も、最近、聞こえるようになってきた。出展するメーカーの顔ぶれや、PC/コンシューマ機向けのビッグタイトル中心という展示スタイルなどは、ここ数年、ほとんど変わっていないし、Blizzard EntertainmentやValve、Bethesda Softworksといったメーカーは独自のイベントを開催し、そこで新作を発表したりしている。こうしたことから、E3の存在意義が薄れているのではないかというのだ。
さらに、我々メディアのあり方も岐路に立っている。ご存じのように、プラットフォームホルダーだけでなく、ゲームメーカーさえカンファレンスの実況をネットで配信するようになってきた。E3というイベントを良い機会として、メディアを介することなく、直接エンドユーザーにアピールしようというわけだ。TwitterやFacebookなど、個人の情報発信能力も飛躍的に高まっており、いちいちメディアを通すことなく、情報共有が可能になった現在、これまでどおりのやり方は通用しなくなるかもしれない。
以上、さまざまな意味で、今年のE3 2012は試金石としての意味合いが大きいといえそうだ。コンシューマゲーム機の存在意義さえ問われる現在、果たしてE3は我々に何を見せてくれるのだろうか? 4Gamerは今年も取材スタッフを現地に派遣し、さまざまな最新情報をいち早く読者にお伝えする予定だ。思わず「キターー!」と叫んでしまいそうなレポートを期待してほしい。最後に、各プラットフォームホルダーおよびメーカーの映像配信情報を掲載しておこう。
Microsoft:Xbox E3 2012 メディアブリーフィング(6月5日1:00開始予定)
→http://www.xbox.com/ja-JP/event/e32012/home
Sony Computer Entertainment:北米PlayStationのE3特設ページにて6月5日9:30からカンファレンスプレビューを開始、10:00からカンファレンスの模様を配信。さらに、6月5日から7日のE3本開催中の配信も予定
→http://us.playstation.com/e3-2012/
任天堂:特設サイトにて配信を予定(6月6日1:00開始予定)
→http://e3.nintendo.com/
Electronic Arts:E3特設ページにて、映像配信を予定(6月5日5:00開始予定)
→http://www.ea.com/e3
Ubisoft Entertainment:YoutubeのE3特設チャンネルにて、映像配信を予定(6月5日7:00開始予定)
→http://www.youtube.com/watch?v=aKRWubusKBU
※この記事は、4Gamer.netより提供された情報をもとに、テレビ朝日が改変・編集し掲載しています。元記事はこちら