いよいよ公開の今回はデジタルVS.アナログ対決(?)のような岩月捜査官と伊丹刑事の対照的なキャラクターについて、そして国民的シリーズとして大人気の「相棒」の魅力の核心について、“新”相棒の田中圭と川原和久が分析します!
■伊丹刑事はハッキリ、岩月捜査官はモヤッ!? キャラの対比に注目を!!
Q:さて、これまでにも『相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿』(09)のように「相棒」シリーズのスピンオフ作品がありましたが、それも含め、今作の最大の特色は何でしょうか?
川原:あの作品も“相棒”が登場していましたが、どちらかと言うと米沢守に焦点を当て、彼の私生活まで描いていました。その意味では今回は違い、バディーものだと思いますね。
田中:伊丹刑事と岩月捜査官は最初から反発しあい、最後まで絶妙な関係のままですが(笑)、そこに“X DAY”の魅力があると思いました。独立した作品である点もいいですね。
川原:また、個々のレギュラーの方々も対になって“相棒”として行動しています。たとえば大河内監察官と角田課長、三浦刑事と芹沢刑事、中園参事官と内村刑事部長、その代表的キャラクターが、伊丹と岩月だと思っていて。主役というか、そういう意識でしたね。
Q:サイバー犯罪対策課の岩月はデジタルが得意な若手で、捜査一課の伊丹刑事は足で稼ぐようなアナログ人間ですね。キャラクターを演じる上で特に意識したことはありますか?
田中:岩月はサイバー捜査官なので、デジタルに精通しています。ただ、どう具体的にデジタル感を表現していくかは難しい問題で、サイバー捜査官としての説得力を出すために苦心しました。でも伊丹刑事がケータイの番号交換さえ送信でできないくらいアナログな人だったので(笑)、そこで対比を出していくことで岩月も際だっていけた面はありましたね。
川原:伊丹の場合は、何も変わってない、ことですかね(笑)。右京さんがいなくて、映画で主役をいただいても、そうは変わらない。それが魅力、だと思ってくれればいいですが。
田中:それと、伊丹刑事は仕事内容がハッキリしていますが、岩月は見えにくい。そこもポイントでしょうか(笑)。ドラマ版でもさらっとしているキャラクターなので。
■脚本重視のブレない姿勢――それがモンスター・コンテンツの理由だ!!
Q:今回の『相棒シリーズ X DAY』は、経済危機や金融危機を扱う社会派色が強いストーリーですが、観客へテーマを投げかけ、皆で問いを探すようなタイプの作品はいかがですか?
川原:そうですね、嫌いじゃないですね。観るにしても出るにしても。ただ、そこに啓蒙的な気持ちは僕たち俳優にはなくて、その裏側のテーマ性が伝わればいいと思って芝居もしていないです。本当は痛快な『ダイ・ハード』的なエンタメが好みかもしれないです(笑)。
田中:いいですよね。ビビッと伝えてくるなっていう作品に出会いたい。考えたいですよね。『相棒シリーズ X DAY』の撮影中は、そこまで考えなかったけれど、試写を観て強いメッセージ性を感じて驚いたほど(笑)。とても面白くて、そういう作品に出たことの快感はありました。シリアスなテーマを投げる側に立つことって、いいなあと思いました(笑)。
川原:ただ、その世界にいるなあとは思いますが、責任を背負っているとまでは感じないですよ。「相棒」という世界観があって、その中で僕たちは動いている。それだけですよね。
Q:「相棒」は国民的シリーズと言われ、劇場版、スピンオフ作品まで生まれた、モンスター・コンテンツです。ここまで圧倒的な支持を集めている理由はどこにあると思いますか?
田中:「相棒 (Season 11)」に参加した時に、杉下右京警部を演じる水谷豊さんが大きな軸として存在していて、そこをスタッフやキャストの皆さんが囲み、すべてを含めて“相棒”ということを皆が理解している気がして。その一体感は、僕には魅力的でした。
川原:魅力――正直なところよく分かっていないですが(笑)、バランスがとてもいいですね。主演とゲストのカラミ、それでいてしっかりとした脇役がいて、チームワークもいいですから。基本的なベースとしてストーリーを重視している作品の方針もあるでしょうね。
田中:「相棒」は、長年ブレない脚本がとにかく面白いですよね。すごくリアル! あとは、川原さんが言われたように、一番強い要因は仲間意識ですかね。そして、いつも前作を超えていく覚悟みたいなもの。時事ネタを毎回入れて勝負していく姿勢――これが、モンスター・コンテンツになっている理由じゃないでしょうか(笑)。すごいことだなって僕は思います。
■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)
© 2013「相棒シリーズ X DAY」パートナーズ
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