第2回「2人の関係」

今回は、サイバー犯罪専門捜査官の岩月彬と、おなじみ捜査一課の伊丹憲一刑事の友情(?)関係のこと、そして撮影現場で起こっていた爆笑エピソードについて、田中圭と川原和久が激白! ちょっと意外で貴重な裏話に期待!

■岩月と伊丹は間違いなく“対”になる存在――それが今回は上手くハマった

 

Q:ファン待望の劇場版ですが、改めてどうですか?

 

川原:スケール的な視点で言いますと、すごく大きな仕掛けをしているわけではないし、テレビシリーズの方でも劇場版のようなスケールで勝るとも劣らない社会派的なエピソードをいくつも扱っています。そういう意味で言うと、『相棒シリーズ X DAY』は本店にのれん分けしてもらって、期間限定で精一杯頑張っています、みたいなカンジですかね(笑)。

 

田中:ずっと僕が感じていたことは、捜査の描写がリアルということですね。もちろんフィクションなので完全なリアルではないけれど、すごく共感しますよね。そこには恐怖さえ感じるリアリティーもあって。クライマックスの展開はほかの作品にない不思議な感覚になりましたが(笑)、本物っぽいストーリーがとにかく最高です。

 

川原:それと、今回は『相棒シリーズ X DAY』ということで、主演としてゲストの田中君に新しく参加していただいていますが、これまでのシリーズとは独立した作品ですよね。通常とはまた違う味わいの作品になっているので、初めて観るという方もまったく問題ないです。

 

Q:さて岩月も伊丹も、仕事に対しては情熱とプライドを同等に持っていますよね。でも会えばいがみあってしまいますが、その関係についてはどう受け止めて演じていましたか?

 

田中:岩月は伊丹刑事とは間違いなく“対”になる存在でいなければいけなかったので、なるべく僕は淡々と――ローテンションというわけではないですが――感情の起伏もないように演じていました。撮影中は自分でも、この岩月の姿を観る客さんは楽しいか? と自問自答してしまうほどで(笑)、自分で自分を抑える仕事をしていました。それはすべて、川原さん演じる伊丹刑事のキャラクターの反対側にいたかったということの結果ですよね。

 

川原:田中君と僕と橋本(一)監督の三者で、どういうコンビにしようかと話し合うことはなかったですね。それぞれの道を歩いているふたりが、行く先々で出くわしてしまったり、行き掛かり上、共に行動しなければならなくなる状況を自分なりの解釈で演じていました。あまり話し合うこともなく、3回位のテストを経て本番みたいな感じで。三者の感覚が合致してたんでしょうね。

 

田中:伊丹刑事とは反対に、岩月が何もしなければしないほど、コンビとしてはきっと面白く映っていくと思っていました。それに、デコボコのまま一緒に捜査しなくてはいけないから、ちゃんと対照的でいたいとも思っていて。ただ、伊丹と岩月の、ラストシーンの距離感がいいですよね。さまざまな過程を経て結実したラストなので、とてもいいです(笑)。

 

川原:『相棒シリーズ X DAY』の縦軸は岩月と伊丹ですよね。伊丹憲一という男はすでに長いこと存在しているので、そこは変えようがないじゃないですか。後は、田中圭君演じる岩月彬がどう出てくるかの話になってくる。言ってみれば我々の相棒感が肝になるわけです。ただ、それが今回は、うまくハマったなあって感じですね。

 

■撮影現場での“イス”をめぐる攻防戦!? オフキャメラでも岩月と伊丹のまま!?

 

Q:社会派メッセージが強い「相棒」シリーズはシリアスでリアリティーがありますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしょうか? 待ち時間のエピソードなど聞いてもいいですか?

 

川原:雰囲気は非常に良かったですが、すみません、撮影現場で僕たちは楽しい会話をするまでに至りませんでした。ひとえにいい歳をした私の人見知りが原因で(笑)。そのせいじゃないでしょうけど、この人はよく寝ていましたよ(笑)。子供並みに全然起きない。椅子に座って寝ていて、崩れ落ちそうになって寝ている彼にメイクさんが必死にメイクをしているっていう。そういう絵面など、けっこう楽しませて頂きました(笑)。

 

田中:川原さんに限らず皆さんに寝ていたってよく言われましたが、僕の中では寝ている記憶はほぼないです(笑)。撮影現場でもっとも脳裏に焼き付いていることは、“イス”のエピソードですね。イスが一個あって、スタンバイ中、川原さんがイスの近くに立っていて、僕も立っていました。それで、川原さんがどこからかイスをもう一個調達して、近くに置いてくれました。その時に、優しいな、僕がやるべきだったのに申し訳ないな、と思いながら、それって一緒に座る合図だと受け止めて。でも結局、座らなかった(笑)。そこに川原さんらしい愛情と気の使い方が出ていて、その時、どうにも救われた感じがしましたね。

 

川原:その記憶については、あまり僕の中にはないのですが(笑)、たぶん、僕のことだから、イスを出したものの、座れば田中君と何か会話しなくちゃいけない、どうしよう話が続かなかったら、沈黙かぁ、とか思ったかもしれないですね(笑)。あまり覚えてないですが、自分だったら、そいうことを考えそうな気がしますね(笑)。

 

Q:その微妙な距離感は劇中の岩月と伊丹のようですね(笑)! 一度だけ飲み屋で一緒になるシーンがありましたが、撮影の期間中、男同士でサシで飲みに行ったりはしましたか?

 

川原:ないよね(笑)。

 

田中:ないです(笑)。

 

川原:ちょうど公開前に地方のキャンペーンに行くので、それこそ否応なしに“相棒”にされてしまいます(笑)。10以上の都市を回るそうなので、そこで何かあるとは思いますね。

 

田中:たとえば、その土地の夜でとか?

 

川原:まあでも、夜遅くまで働かされて、朝が早かったりする場合もあるので、ひょっとしたら合間をみながら、昼間にこっそりとビールを飲んじゃうとか!? 怒られるわ(笑)!

 

田中:でも楽しみですよね!

■取材・構成/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

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