■今回の“X DAY”は日本社会の問題点を扱っていて、骨太な“相棒”シリーズです
Q:まずは岩月捜査官として、伝統ある“相棒”の世界へと入った感想はいかがでしょうか?
田中:なぜ自分が!? という、それが正直な感想でした(笑)。もちろん、プレッシャーはありましたが、撮影現場では夢中だったので気にならなくなりましたね。今回の“X DAY”は「相棒」シリーズではあるけれども、ひとつの社会派映画として成立もしているのでヘンに緊張はせず、今までの経験を踏まえて楽しく撮影を終えました。
Q:また、今作は捜査一課の伊丹刑事が岩月捜査官と“相棒”になるという新展開ですよね。
川原:ええ。普段は捜査一課の3人で動いていますが、テレビシリーズでもたまに右京さんと動いたり、所轄の刑事と組んだりしたことがあるんです。でも、ここまでガッツリやることは初めてだったので、その楽しさはありました。それと、初共演なので田中圭君という俳優が、どういう球を投げてくるか分からなかったんですけど、撮影現場では楽しいやり取りができたと僕は思っています。
Q:社会派メッセージが強い「相棒」シリーズの中でも、今回の“X DAY”をめぐる問題は現実に起こり得そうなリアリティーがありますよね! そのリアルな展開に注目ですよね!
川原:僕は今回モチーフとなっているような経済的な題材に強いほうではないですが、国民の一人としてはたして現状のままでいいのか? という懸念はあります。ただ、政治の世界に打って出るわけでもないので、僕にできることには自ずと限界はあるとは思いますが。
田中:もともと僕はメッセージ性が強い作品が好きで、その毒気が強ければ強いほどいいと思っています。特に今回の“X DAY”は日本社会の問題点を扱っていて、骨太ですよね。この作品を見て、気がつく人がいると思う。強烈なテーマを、強烈に投げていますよね。
■幸運か計算か、最後まで読めない、岩月と伊丹の緊張感ある“相棒”関係
Q:さて、岩月と伊丹が距離を縮めていく過程が絶妙でしたね! 最初は“相棒”とは程遠い関係ですが、細かい積み重ねを経て信頼を築き上げていく過程が、とてもリアルでした!
川原:特に何か相談したり、監督を交えて打ち合わせしたりした訳ではなく芝居を重ねていく中で、リアルな距離を計り、関係をつめていく作業を中心に作り上げた感じですね。
田中:最終的に岩月と伊丹刑事が仲良くなるかどうか、ちょっと読めない関係性がいいと思いました。実は脚本を読み終わった時に、ラストシーンまで笑わないと決めました(笑)。そこに至る過程で伊丹刑事の努力を近くで見て、認めてもいるけれど、ラストシーンまで絶対に顔には出すまいと。ただ、そう決めたことで、緊張感ある関係になったと思います。
川原:もちろん、最終的な着地点を見据えて演じているということと、今回は意外と早い段階でラストシーンの撮影があったので、そこに合わせてはめていく作業もしました。ただ、そこには橋本(一)監督、田中君、僕の加減も関わってくる。だから、感覚的なものか、周到な計算の元に行われたかはともかく、本当に上手くかみ合った、という感じでしょうね。
■取材・構成/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)
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