「ゲーム環境」としてのWindows 8完全理解(1)Windows 8の立ち位置とラインナップを整理する

- 更新日:2012年10月25日
新世代OS「Windows 8」が,2012年10月26日にいよいよ発売となる。
Windows 8
Windowsにとって久々のメジャーアップデートということで,PC&IT系メディアはこの数か月,連日のように特集記事を掲載してきているので,「ああ,あちらでは盛り上がっているのだなあ」とぼんやり思っていた読者も多いのではないかと思われるが,そのWindows 8がついに今週,発売を迎えるわけである。
Windows 8については,欧米のゲーム業界から悲観的なコメントが寄せられたりしているが,Windows 8は,ゲーマーがすぐにでも導入すべきOSなのだろうか。ゲームプラットフォームとしてのWindows 8が持つ可能性を,何回かに分けて整理していきたいと思う。
第1回となる今回は,基本中の基本,Windows 8の位置づけとラインナップ,入手方法を整理してみたい。
Windows 7の後継となるWindows 8はタッチ操作に最適化されたUIを採用
言うまでもないことだが,Windows 8は,現行のWindows 7に代わる,新しいバージョンのWindowsである。「過去のWindowsと互換性を保ちながら,新しい要素を盛り込んできた」という意味において,その立ち位置に従来からの変更はない。
そんなWindows 8における最大の特徴は,新たに「Metro Style」(Metroスタイル)と呼ばれていたユーザーインタフェース(以下,UI)を採用するところにある。「呼ばれていた」というのは,商標権関連と見られる問題があって,Microsoftがあるときからそう呼ばなくなったためで,最近では「かつてMetroと呼ばれていたUI」とか,「モダンUI」とか,あるいは「Windows 8 Style」(Windows 8スタイル)といった呼び名が主流だ。MicrosoftはWindows 8 Sytleを好んで使うようになっているので,この呼び名が最終形ということになるのではなかろうか(※断言はできないが)。
さて,このUIについての詳細は稿をあらためたいと思うが,ポイントは,タッチ操作への最適化がなされていることだ。
Microsoftはタブレット機器の市場で出遅れているが,その大きな原因の1つに,従来のWindowsがタッチ操作に向いたインタフェースではないというものがあった。そこで,スマートフォン「Windows Phone」のUIをベースに,タッチ操作できるWindows UIとして導入されたのが,このWindows 8 Style(もしくはMetro)というわけである。
Windows 8のタッチ操作(※音声なし)
2012年9月の「Intel Developer Forum 2012 San Francisco」で,Lenovo製Windows 8 Proタブレット「ThinkPad Tablet 2」(Cover Trailベース)のサンプルを操作したところ。片手でカメラを回しながら片手で操作しているのでミスがあるのは見逃してほしいが,「こんな感じでタッチ操作できる」というのは掴めると思う
「タッチ操作に最適化されたUIを,マウスとキーボードで使ったらどうなるの?」という疑問はもっともだが,そのあたりは次回以降説明するとして,ひとまずは,「タッチ操作を前提とするUIがWindows 8では採用され,それが最大の特徴」という点を押さえておいてほしい。
なおWindows 8にはそのほかにも,システム全体の低消費電力化や,起動の高速化,「DirectX 11.1」の採用といったトピックもある。Windows 7からUIだけが変更になったわけではない。
ラインナップと製品構成はWindows 7からけっこう変わった
従来のWindowsをどうやって入手したかは人それぞれだろう。最も多いのは「PCを購入したら,そのときの最新版Windowsがプリインストールされていた」というケースだろうが,DSP版と呼ばれる簡易ボックス版や,量販店の店頭などで購入できる製品ボックス版を購入し,自分でPCにインストールしたという人もいるはずだ。
Windows 8でも,主流となるのはPCにプリインストールされる形だが,OSが登場するたびにPCを買い換えるようなサイクルの人はまれだと思われるので,ここでは,いまWindows 7以前のOSを使っている人がWindows 8へ移行すると想定し,話を進めておきたい。
■Windows 8のラインナップは2種類
企業向けを無視すると,Windows 8のラインナップは,“無印”のWindows 8と,その上位版に当たる「Windows 8 Pro」の2種類となる。Windows 7時代には「Starter」「Home Premium」「Professional」「Ultimate」の4種類だったので,その構成は相当にすっきりしたわけである。
無印のWindows 8は,従来のWindows 7 Home Premiumに相当する製品だ。Microsoftとしては家庭用のPCに搭載されるのはこちらが主流という考えのようで,実際,Windows 8の発売に合わせて市場投入されるゲームPCのOSは,無印Windows 8がほとんどだ。
一方,Windows 8 Proは,Windows 7ではProfessionalとUltimateの位置に相当するもので,無印Windows 8の機能に加え,リモートデスクトップのホスト機能,ドメイン参加機能,暗号化機能に,フルセットの「管理ツール」など,基本は企業向けの立ち位置に,ハイエンド個人ユーザー向けの機能を一部含んだものとなっている。
Windows 7 ProfessionalやWindows 7 UltimateにあってWindows 7 Home Premiumになかった機能をWindow 8環境でも引き続き使いたいということであれば,Windows 8 Proを選ぶことになるわけである。
■購入できるWindows 8の選択肢は6つ
以上,ラインナップ自体は2種類で,すっきりしたWindows 8だが,実のところ,PCユーザーが販売店で購入できる最終製品は6製品もある。しかも,これがなかなか複雑だ。
まず,クリーンインストールが可能な(=インストール時に以前のWindowsが必要にならない)ものとして,4種類のDSP版が用意される。
冒頭でその名称だけ紹介したDSPというのは「Delivery Service Partner」の略で,本来はPCメーカーや販売店向けの簡易ボックス版という位置づけだ。PCメーカーや販売店が,自社で販売するPCにインストールするための製品なので,厳密にいえば一般ユーザー向けの最終製品ではないのだが,PCには「自作」という選択肢が用意されているので,自作派でも購入できるように,PCパーツショップなどで流通しているというわけである。
Windows 8におけるDSP版では,Windows 7以前から大きく変わったことがある。従来は「あくまでも(PCメーカーや販売店が製造した)特定のPC向け」という建前があったため,何らかのPCパーツとセットでしか購入できなかったのが,Windows 8では単体購入できるようになったのだ。
さて,上でDSP版が4製品あると述べたが,これは要するに,Windows 8とWindows 8 Proのそれぞれに32bit版と64bit版が用意されるということである。このあたりはWindows 7時代と基本的に変わっていないと述べていいだろう。「32bit版が扱えるメインメモリ容量は4GB未満で,64bit版ならそれ以上が扱えるが,64bit版では古い世代のアプリケーションが動作しない可能性がある」というところは,Windows 7時代と同じである。
続いて,ある意味で最も大きく仕様が変わったと言えるのが,製品ボックス版のWindows 8で,なんと,「Windows 8 Proへのアップグレード版」しか用意されない。いま使っているPCから,無印Windows 8へのアップグレードパスは用意されないのだ。
ちなみにこのアップグレード版製品ボックスには32bit版と64bit版のインストーラが用意されているが,インストールして利用できるのはどちらか一方のみになる。当たり前だが,32bit版と64bit版のうち,利用できるライセンスは1本分というわけだ。ちなみにボックスのデザインは5種類あり,ランダムで提供されるという。
Windows 8 Proへのアップグレード版製品ボックス。32bitから32bit,64bitから64bitへのアップグレードでは大なり小なり環境を引き継げるが,32bitから64bit,64bitから32bitといった場合には,従前の環境が引き継がれない
以上で5種類だが,Microsoftはこれとは別に,「Windows 8からWindows 8 Proへのアップグレード版」も「Windows 8 Pro Pack」として用意している。Windows 7時代の「Anytime Upgrade」と似たようなものだという理解でいいだろう。
Windows 8 Pro Packは,当然のことながらWindows 8無印単体,もしくはWindows 8無印インストール済みのPCを持っている人が対象だ。なお,Windows 8 Pro Packにも32bit版と64bit版が同梱され,現在使用しているOSに応じて,32bit版からは32bit版,64bit版から64bit版へのアップグレードが可能となっている。
■優待期間中はアップグレード版が格安で購入可能
気になる価格もまとめておこう。6製品すべての注文を受け付けているAmazon.co.jpによれば,2012年10月24日現在の販売価格は以下のとおりだ(※リンクはすべてAmazonアソシエイト)。
●クリーンインストールが可能なもの
・32bit版Windows 8 DSP:1万1249円(税込)
・64bit版Windows 8 DSP:1万656円(税込)
・32bit版Windows 8 Pro DSP:1万4843円(税込)
・64bit版Windows 8 Pro DSP:1万4843円(税込)
●Windows XP~7からのアップグレード専用
・Windows 8 Proアップグレード:5480円(税込)
●Windows 8からWindows 8 Proへのアップグレード
・Windows 8 Pro Pack:5480円(税込)
Windows 8 Proのアップグレードが明らかに割安だと思ったかもしれないが,これは,2013年1月31日までの期間限定で優待価格になっているためだ。日本マイクロソフトの直販価格は6090円(税込)。Amazon.co.jp以外のショップでも,6000円前後に+10%ポイント還元など,おおむね5500~6000円程度の価格で販売されるようである。
DSP版には,「DSP版Windows 8自作PC応援キャラクター」と位置づけられる「窓辺ゆう」「窓辺あい」を製品ボックスにプリントした「発売記念パック」も用意される。数量は1キャラあたり4000本。窓辺ゆう&あいをモチーフにしたオリジナルWindowsテーマやピクチャーパスワード用画像,イベントサウンドなどが付属するので,興味のある人はこちらを探してみるのもいいだろう
なお,以上のような販売店ルートのほかに,日本マイクロソフトは,あと2つ,割安な選択肢を用意している。1つはWindows 8 Proアップグレード版のダウンロード販売で,予定価格は3300円(※税込か税別かは未公開)だ。光学メディアが不要ならかなりの安価で入手できるので,気になる人はダウンロード販売が行われるページをチェックしておくといいだろう。
Windows 8 Proアップグレード ダウンロード版販売予定ページ
※PCサイト
もう1つは,2012年6月2日から2013年1月31日の間にWindows 7搭載PCを購入した人のみを対象とした優待プログラムだ。優待プログラムの登録サイトから所定の情報を入力すると,Windows 8 Proアップグレード版を1200円(※税込か税別かは未公開)でダウンロード購入できる。いわゆる大手メーカー製PCだけではなく,システムビルダー各社のゲームPCも対象になっているので,最近ゲームPCを購入したという人は,ひとまず1200円で入手しておくというのもアリだと思われる。
こちらも受付は1月31日までだ。
Windows 8優待購入プログラム登録ページ
※PCサイト
ちなみに,優待販売期間の終わった2013年2月1日以降の国内価格がどうなるかは公式発表されていない。米国では,優待版の販売が終わったあと,Windows 8アップグレードが新たに119.99ドルで登場し,Windows 8 Proアップグレードは199.99ドルになると報道されていたりするので,日本でも似たような感じになるのではないかと思われるが,いずれにせよ,アップグレード版の購入を考えているのであれば,優待期間のうちに動いておくべし,ということになる。
近日公開予定の第2回では,Windows 8のインストールと,そのときに注意すべき点をまとめる予定だ。
※この記事は、4Gamer.netより提供された情報をもとに、テレビ朝日が改変・編集し掲載しています。元記事はこちら