東京女子流
“東京女子流 2nd JAPAN TOUR 2012〜Limited addiction〜CONCERT*03『Rock you!』”
5月20日(日)日比谷野外音楽堂
東京女子流はガチだ。歌も踊りも衒いなく全力で、真摯すぎるくらい生身なステージ。少女と女性の狭間にあって、何者でもなく、何者にもなれる。そんな自由と可能性を宿した全身全霊のパフォーマンス。まばゆく、ひたむきなその姿には、彼女たちがただ可憐なだけのアイドルではなくエンターテインメントのプロフェッショナルとしてここに立っているのだという覚悟と矜持が秘められていると思った。端的にいえば圧倒された。
全国6都市を回った“東京女子流 2nd JAPAN TOUR 2012〜Limited addiction〜”のファイナルにして“CONCERT*03『Rock you!』”と冠された初の日比谷野外音楽堂ライヴ。生バンドによるハードなサウンドに乗って勇ましく登場した5人、ライヴタイトルにもなった「Rock you!」でステージが幕を開ける。今日のライヴのコンセプトを体現するロックテイストな衣装が目にも新鮮だ。メリハリの利いたフォーメーション、指の先まで神経の行き届いたパワフルなダンス、瑞々しくはじける歌声にのっけから惹き込まれてしまう。
「Liar」に垣間見る大人びた表情に息を呑み、「ヒマワリと星屑」でのエアギターに沸き、一転メロウに歌い上げられる「追憶-Single Version-」に耳を奪われ。めまぐるしく展開するステージと一体になって盛り上がるオーディエンス。SweetSのデビュー曲を東京女子流アレンジでカバーした「LolitA☆Strawberry in summer」が新曲として初披露されるや、オイ! オイ! と拳が突き上がる。その光景はもはやアイドルのライヴではなくロックバンドのそれそのもの。いや、気合いの入りようはヘタなロックコンサートより数倍上を行くかもしれない。ロックの聖地とされる日比谷野音にふさわしき熱量。観客もまた彼女らに負けず劣らずガチなのだから、この空間に渦巻くエネルギー量たるや計り知れない。
迫力あるステージングの一方で、MCとなると途端に無邪気な素顔が覗く。そのギャップもまたよし。会場をさらに盛り上げるべく「恒例のアレ、いっちゃう?」とリーダー・山邊未夢。恒例のアレとはメンバーひとり一人の呼びかけに対し、当てはまる観客が“Yeah!”と応える、というものだ。
「女子流のライヴをすごく楽しんでいる人!」
「盛り上がってる人!」
「女子流が大好きな人!」
……これ、全部“Yeah!”に決まってるではないか。
徐々に空が暮れ始め、揺れるペンライトの光で客席が一面のピンクに染まる頃、山邊の口から活動休止の重大発表が告げられる一幕もあった。しかし、それは東京女子流がさらにレベルアップするため期間限定、2ヵ月間の休止だという。真相を知って胸を撫で下ろすオーディエンス。さらに本当のサプライズはその先に用意されていた。 2時間を超える本編ののち、“TGS”のロゴが大きく入ったツアーTシャツに黒のホットパンツというお揃いの出で立ちで再びステージに登場した東京女子流。
ハードなアレンジの「Limited addiction -Unlimited addiction Mirrorball Royal Mix-」、デビュー曲「キラリ☆」と好対照な2曲でアンコールに応えた5人のもとに、東京女子流がテーマソングを務めるアニメ『はなかっぱ』の等身大はなかっぱ着ぐるみが駆けつけ、そうして届けられたのは、彼女たち自身も知らされていなかった“12月22日、日本武道館ワンマン公演決定”のニュースだった。ステージ上のスクリーンに大写しになった文字をしばし呆然と眺め、直後、彼女たちの瞳にみるみると涙の粒が膨れ上がった。客席のあちこちから温かい声援が飛び、くしゃくしゃの笑顔で応える5人。東京女子流の夢がまたひとつ前進した瞬間に違いなかった。
ラストを飾ったのは「ゆうやけハナビ」。“♪しっかり 手を繋いで”の歌詞にステージの5人、そして客席も全員が隣同士、繋ぎ合った手を高く高く掲げた。綺麗な連鎖、夢が未来に向かってまっすぐに伸びてゆく。 夏の再会を誓い、今日のすべてを刻み込むようにしてオーディエンスに5人は深く頭を下げた。
「今日は本当にありがとうございました!」
「みなさん、大好き!!!!!」
口々に叫び、去り難そうに手を振りながら大歓声の中、ステージを降りる。去り際の笑顔がキラキラと清々しい。2ヵ月後、東京女子流は必ずやパワーアップして帰ってくるだろう。早くまた会いたい、その笑顔に強く願った。
【取材・文/本間夕子】