童子-T
『もう一度… feat.BENI』や『約束の日 feat.青山テルマ』などのヒットで知られる童子-T。昨年ソロデビュー10周年を迎え、ますます活発に活動を行う彼が、ニューシングル『HOME feat.SA.RI.NA』をリリース。木山裕策の08年のヒット曲を元に、家族の愛がたっぷり込められた温かい楽曲に仕上がった。
Q:今回は、木山裕策さんの08年のヒット曲『HOME』をカバーしたわけですが。
童子-T:ヒップホップの手法として、既存の曲を引用するやり方があって。以前にも、『もう一度… feat.BENI』でドラマの劇中曲のピアノを引用したり、安全地帯の名曲を引用した『悲しみにさよなら feat.Full Of Harmony』とか出していて。久しぶりにラップカバーをやるのは面白いんじゃないかと。
Q:原曲は子供や家族に対する愛情を歌ったものでしたが、今回は童子-Tさんのラップで、お子さんに対する愛情がより深くリアルに表現されたものになりましたね。
童子-T:はい。もともとすごく好きな曲のひとつだったので、そこに俺なりのメッセージを付け加えて、新たなものが作れないかと思いました。ただ、原曲の歌詞がすごく完成されているので、いざラップで歌詞を付け足すとなったときは、いったい何を歌えばいいのか?とすごく悩みましたね。そこで、子供が生まれてから今までの写真を、成長を追うように見て行くうちに、懐かしさがこみ上げたり、娘が初めて歩いた日のことを思い出したりして、その気持ちをそのままリリックに込めました。フィーチャリングのSA.RI.NAは、彼女自身『シングルマザー』という曲を歌っていて、歌詞の気持ちや意味をしっかり理解して歌ってくれるんじゃないかと思ってお願いしました。今まで『実りある人生を』をはじめ親バカソングをたくさん歌って来ましたが、今回の『HOME』はそうしたテーマの集大成的なものになったと自負しています。
Q:子供を持つすべての親御さんの気持ちが詰まった曲ですね。
童子-T:家族や知り合いにも好評で、妹の友達が朝の番組でこの曲を聴いて、子供のお弁当を作りながら泣いてしまったと言ってくれました。それと親御さんだけでなく、ティーンエイジャーの子供達にもたくさん聴いてほしいという想いもあるんです。「自分が生まれたとき、親はこういう風に思ってくれたんだな」とか、「実際に自分が親になったとき、自分もこういう風に思うのかな?」とか、何かを感じ取って聴いてくれたらうれしいです。最近は親子の間での悲しいニュースをたくさん見ますが…俺のラップで何かを変えられるとは思ってないけど、心の片隅にこのメッセージを置いといてくれたらうれしい。
Q:ちなみに、今お子さんはおいくつですか?
童子-T:娘が小3で、息子が小1です。ジャケット写真やミュージックビデオには娘に一緒に出て貰って、親子初共演になりました。照れ屋の息子には「ヤダ」って拒否されたけど(笑)、娘は撮影のときもまんざらじゃない様子でしたね。撮影後にいろいろ買わされたけど(笑)。C/Wの『休日』では、子供との休日をリアルに歌っていて。途中で子供のしゃべる声がバックに入ってるんですけど、あれは実際にうちの子供の声を録って使っているんですよ。
Q:『HOME』=心安らぐ自分の居場所ということで。童子-Tさんにとって、家庭以外でのホームと呼べる場所は?
童子-T:友達や一緒に仕事をしてくれるスタッフとか、仲間といる場所ですね。最近は、KOHEI JAPANがやっている和食屋さんに集まることが多いかな。
Q:10代20代なら将来の目標や夢の話、40歳を過ぎたラッパーのみなさんが集まると、どういう話をするのでしょう?
童子-T:でも、昔とあまり変わらないですよ。たとえばRHYMESTERのMummy-Dとは年に数回会って話すけど…夢を語るまでは言い過ぎだけど、これからやりたいこととか、40代の俺達が思うヒップホップについてとか。話す内容そのものはガキの頃とは違うけど、やっぱり根本は変わってない気がします。そうやって変わらずに話せる相手だからこそ、今でも繋がっていられると思うし、そうやって語れることがあるからこそ、今でもラッパーとしてやれているのだと思う。それがモチベーションになるし、そういうところからわき上がって来るものでないと、人には伝わらないと思う。
Q:「50代になってもラップやってようぜ!」とか?
童子-T:そういう話はすごくします。Mummy-Dと「55歳くらいになっても“SAY HO!”とか言ってんのかな?」って(笑)。ロック界だと矢沢永吉さんとか長渕剛さんとか、お手本となる先輩がたくさんいるけど、ヒップホップ/ラップというジャンルで括ると、俺らより上の世代がなかなかいないので、ちょっと想像が付かないですね。
Q:今後の活動予定は?
童子-T:引き続き、精力的にリリースを重ねていきます。まだ言えないけど、みんなが音楽を好きになってくれるような、より面白い企画も進めています。楽しみに待っていてください!
(取材・文/榑林史章)
≪今後のリリースやライヴなど、活動の詳細は公式サイトを参照してください!≫
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HOME feat. SA.RI.NA
童子-T
2012/11/14[シングル]
\1,100(税込)
UPCH-80293