JUJU
デビュー当初から大切に大切に温め続けてきた楽曲「ありがとう」がいよいよシングルとなってリリースされる。それも10月10日、JUJUの日に。この日、初の日本武道館のステージに立つ彼女(10月9日には追加公演も)。“ありがとう”はJUJUからの感謝のメッセージでもあるだろう。シンプルだけれど愛情に満ちた大きな想いをあなたへ。
Q:素直にいい曲だと思いました。
JUJU:ありがとうございます! 私、セールストークとか好きじゃないし、あんまり自分の曲をいい曲だって言うのも苦手なんですけど、これは本当にいい曲だと思います。
Q:デビュー当初からずっと温めてこられた曲だそうですが、ここまで大切に取っておかれた理由というのは?
JUJU:本当は3rdシングルになった「奇跡を望むなら...」より先にリリースするつもりで制作もしていたんですけどいろんな事情が重なって、その時は出さずに置いておくことになったんです。そのタイミングで出す曲が私にとってはもしかすると最後の曲になるかもしれなかったんですけど……結局「奇跡を望むなら...」がちょっとずついろんな方々に届いて、現在につながって。
Q:その後、どこかで出そうということにはならなかったんですね。
JUJU:なんだか今じゃない気がする、今じゃない気がする、って言ってたら7年ぐらい経ってました(笑)。ちょうど去年あたりから、今年にベストアルバム(11月7日リリース)を出せたらという話が出てきて、だったら、そのタイミングでリリースしたいねって。そうしたら今年に入って映画『ツナグ』の主題歌にこの曲を選んでいただいて、しかも公開が10月6日っていう。まさか10月10日(JUJUの日)にこの曲を出せることになるとは思いませんでした。10月10日が水曜日(※CD等のリリースは主に水曜日が通例)っていうのも、ものすごい偶然だし、10月10日は初の日本武道館でもあって。だから今がきっとベストのタイミングだったんだなって。もしも、あのとき「奇跡を望むなら...」じゃなくて「ありがとう」を出していたら今とは違うことになっていたかもしれない。物事にはちゃんと理由があるんだなって思いましたね。
Q:なんと運命的な……ちょっと鳥肌が立ってきました(笑)。
JUJU:そう、運命的なリリースなんです!(笑)
Q:今、改めて歌われて“ありがとう”の意味が変わってきたりはしたのでしょうか。
JUJU:7年前に歌ったときは完全にラブソングだったんですよ、私の中で。出会えたことに“ありがとう”と思える、そういう人に出会えるなんてすごいなって憧れながら昔は歌っていたんですけど、7年経った今、私が伝えたい「ありがとう」は聴いてくださるみなさんへの“ありがとう”だったんですよね。普段だったら照れくさくてそんなこと言えないけど、2番の歌詞の最後にある“♪好きになってくれて ありがとう”はまさに私からみなさんへの素直な気持ちで。……“好きじゃねーよ!”って言われたらどうしよう(笑)。
Q:いやいやいや、大好きですとも。それにしてもタイトルからして強いですよね。こんなにシンプルなひと言ですべてを包み込んでしまえる。しかも曲のラストが“愛してる”で締めくくられてるっていう。“ありがとう”と“愛してる”て2大最強ワードだと思うんですよ。しかもどっちも“あ”で始まるし、5文字だし。
JUJU:たしかに! Satomiさんはすごいなあ。これは川口(大輔)君の曲の特徴でもあるんですけど、彼が作る曲って常に歌っててすごく気持ちいいんですよ。そんな川口君の曲にSatomiさんの詞の世界観とか、いろんなものが合わさって、ホント歌い甲斐があるんです。みなさんにもぜひ歌っていただきたい!
Q:一方、カップリングの「くちづけ」は身を焦がすような熱いラブソングで。
JUJU:切ないし、激しいし、久しぶりに心が乱れました。Jin Nakamuraさんが書いてくださった曲にラララで仮歌を入れてから、松井五郎さんにお渡ししたんですけど、ラララの時点からいい曲だと思っていて。そしたら松井さんから届いたのが“なんだ、こりゃ!”みたいな、すごい歌詞で(笑)。出だしの“♪くちづけにはほんとのこと/うまく隠す甘さがある”からしてもう、みんなで“あるよね〜!”っていう。特に2番のサビの歌詞が好きですね。“♪深く深く戻れなくなる/あなたが連れて行くどこか”のところとか、Jinさんとふたりして“連れて行かれたいね〜!”って(笑)。それぐらい狂おしい想いっていいなと、この曲を歌って久しぶりに思いました。
Q:ある意味、対極的な2曲ですよね。この曲に限らずですけど、歌うときには気持ちの切り替えとかされるんですか? それとも自然に世界観に入り込んでいけるのでしょうか。
JUJU:歌入れするときはあまり考え込まないようにしています。キャラ設定もせず、歌詞を見たときのイメージでそのまま歌うんです。トラックを聴きながら歌詞を読んだ瞬間の世界に入り込むというか。ただ、物語の主人公には寄っているけど、主人公そのものではなくて、物語を読む人になりたいんですよね。
Q:語り部のような? でも、それが瞬間的にできるってすごいですよね。
JUJU:付き合う人によって醸し出すものが違うっていう習性的なものが昔からあって、それが歌にも活かされてるのかなって思います。
Q:面白いなあ。そして3曲目はホイットニー・ヒューストンのカバー「The Greatest Love Of All」ですが。なぜ、この曲を選ばれたんでしょう。
JUJU:今年亡くなられてしまいましたけど、ホイットニー・ヒューストンがとても好きで。この曲ももちろん何度も聴いていたし、すごく好きだったんですけど、歌詞の内容をそこまで詳しくは知らなかったんですよ。でもよくよく読んでみると、私が今まで通ってきたことにも重なる部分がすごくあって。周りに誰もいなかったから自分を頼ることに決めて、けっして誰かの影は追わない、何があったとしても自分自身の中にある愛を信じれば前に進んでいける、っていう。それを知って、私が今、歌いたい曲はこれだなって。
Q:この曲もテーマは“愛”なんですね。
JUJU:そうなんです。“ラブソング”は常に私のテーマなんですけど、今回は特にファンのみなさんに“ありがとう”と言えるものにしたかったので。ホントそういうシングルになったなと思いますね。
【取材・文/本間夕子】
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ありがとう
JUJU
2012/10/10[single]
\1,223(税込)
AICL-2441
SMAR