HOME MADE 家族
揚々と昇る朝日のごとく、強く、まばゆいエネルギーを放つ。ニューアルバム『3RISE』はまさにそんな作品だ。徹頭徹尾“3人”の意思に貫かれたタフでバラエティに富んだ13曲は彼らのさらなる前進宣言でもあるだろう。7枚目となる今作に込められた彼らの意気を聞いた。
Q:今回のアルバムには、これまで以上に一丸となった3人のパワーを感じます。
MICRO:今回はもしかしたらメジャーデビューしてから純粋に3人だけで作った楽曲がいちばん多いアルバムかもしれない。デモ制作の時点でU-ICHIがいっぱいトラックを作ってきてくれたんですよ。カッコいい曲もたくさんあって。
Q:ではトラックを作られるときにイメージしていたものというと?
U-ICHI:『AKATSUKI』のツアーで全国31本のライヴをやらせていただいたんですけど、初めてそれだけの長いツアーを回る中で“もっとこういうのがあったらいいな”とか“こういうことやってきたから、次はこういうふうにやってみようかな”とか感じたことがぼんやりとですけど頭にあって。それを形にしてみた感じですね。
MICRO:今にして思えば、その時点からもう今回の『3RISE』っていう……前作『AKATSUKI』から、夜が明けて太陽が昇るように3人が昇っていくっていう物語が始まっていたのかなと。
Q:ということは前作『AKATSUKI』から今作『3RISE』への流れに、ひとつ大きな意味がありそうな。
KURO:あると思います。『AKATSUKI』はいろんなプロデューサーの方とセッションしましたけど、そこで夜が明けて……暁からサンライズ、つまり日が昇った、もう一度飛び立ったというイメージが今回にはあって。プロデューサーの方々との作業の中で揉まれて経験したことを、3人だけでどれだけ純度の高いHOME MADE 家族のエッセンスを追求できるか。それがこのアルバムかもしれないです。
Q:つまり“3人”という原点に立ち返ったと?
KURO:でも今のほうがきっと昔よりも上手なはずだっていう気持ちも強く持っているので。だから原点回帰というよりは、今の自分たちの技術で原点を見据えると何ができるんだろうっていう。
Q:実際、完成したものを聴いてみていかがでしょう。
MICRO:いいアルバムだなと思います。アルバムタイトルにしっかりそぐう楽曲たちが揃ってますし、改めていい曲がいっぱいできたなって思いますし。今回、ラップのパートもすごく多いんですよ。いつもは8小節ずつサビとサビの間をKUROと僕のふたりでマイクをパスし合ってライムする形の曲も多いんですけど、今回は16小節をひとりで担当するっていうパターンも結構あって、そういう意味でも、それぞれの世界観をたっぷり楽しんでもらえると思います。曲によってはふたりで掛け合うマイクパフォーマンスもあったりしますし。前作もラップパートは多めではあったんですけど、今回はロングバースとかも含めて、さらにいい仕上がりになってるんじゃないかな。
Q:ラップパート多めというのは意識してそうされたんですか。
MICRO:はい。KUROも今回はすごくラップをしたいって最初の頃から言っていて。僕もどちらかというと今回は、誰もが瞬時に共感できるようなわかりやすいものより、ちょっと尖りがあったり、意思のあるものを曲で表現したい気持ちがすごく強かったんですよね。
KURO:あんまりアウトプットをやさしくしないようにしようとはしましたね。わかりやすく咀嚼して出すんじゃなくて……そういったものには今までたくさんトライしてきたけど、今回はそうじゃなくて、自分たちはこういうのをカッコいいと思ってるんだ、だからそういう気持ちで聴いてくれって。今のリスナーっていろんな音楽を食べてるし、見てるじゃないですか。そういう人たちに僕らがカッコいいと思うものをちゃんと差し出して、それで引っ張ってみたいと思って。
Q:そう思った気持ちの源泉は何でしょうか。
KURO:負けたくないっていう気持ちじゃないですかね。
Q:負けたくない?
KURO:うん、負けたくないですね。いろんなことに対して負けたくない。自分に対しても、世にあるたくさんの音楽にも。自分たちの音楽は絶対いいと思ってやってるから、それをしっかり呈示して、おいしいと思ってもらいたい。
Q:客観的に見たら充分すぎるくらい勝っていらっしゃるように思いますけれど。
KURO:いやいやいや、もうそこは常に闘い、だよね?
MICRO:うん、まだまだ。
KURO:いつだって“もっとできる!”って思ってますから。
Q:だからこそ、今にしてなおここまでアグレッシヴな作品を作ることができるのかもしれないですね。わかりやすく、やさしいものが受け入れられやすい風潮にあって、ある意味これは挑戦状を叩きつけてるような作品でもあるわけじゃないですか。
KURO:それは大いにありますね(笑)。
MICRO:たぶん“今がいちばんいい”って思っていたいんです、きっと。過去のものも、もちろん自分たちなので全部カッコいいと思ってますけどね。常に時代は変わるし、僕らはその時代の中で生きてるけど、同時に“今”を生きてるわけでもあって。だから去年出したアルバムより今回のほうがカッコいいと思っていたいし、曲を作ってて自分のOKラインをまだ超えられてないと思えば、そう思えるまでやりたいとやっぱり思うし。なかなか難しいことですけどね。でも、たぶん、それをずっと続けていくのが音楽を続けていくことなんだろうなっていう。
Q:じゃあ改めて、続けていくぞっていう宣言でもあるわけですね、今作は。この3人で、みんなを巻き込みながら勝っていくぞ、と。
MICRO:だってここから、また、さらに昇ろうとしてますから(笑)。
Q:そうですよね。ここにきて“RISE”という単語をタイトルにもってくる、まだまだ全然上がる気満々なところがカッコいいなと思いますもん。
一同:あははははははは!
Q:最後にみなさんのそれぞれの聴きどころみたいなものがあればぜひ教えていただけますか。
KURO:難しいな〜、どれも好きなんですよね。でも、やっぱり「シグネチャーサウンド」かな。今回、U-ICHIがスクラッチで参加してる楽曲が多く収録されてるんですけど、中でもコンビネーション感がすごく出てる楽曲だと思うんですよ。しかも“シグネチャーサウンド!”って歌ってる楽曲なので(笑)、ここはもう自信持ってアピールしたい。
Q:U-ICHIさんは?
U-ICHI:まずね、アルバムでイントロがないっていうのが初めてなんですよ、実は。そういう意味でも「ビギンザビギン」の幕開け的ワクワク感を感じてもらえたら。そのへんはライヴでもやれたらいいなって思いますね。僕、自分が人のアルバムを聴くときも1曲目とか、人のライブを観るときも登場の仕方とか、すごく気になるんですよ。いかに期待させられるか、とか、僕らがやる側だったらどういう仕掛けを作ろうか、とか考えるので。なので1曲目からしっかり聴いていただきたいなと。プラス中盤にはスキット(「3RISE ~ Skit~」)があるので、そこからまた気分を切り替えていろいろ聴いてもらえるんじゃないかなと。
Q:この1枚の流れでライヴができそうですよね。
MICRO:マスタリングスタジオの方も“このままライヴやったらいいんじゃない?”っておっしゃってましたよ(笑)。僕は3曲目の「World Is Mine」とかすごく好きですね。この世界は俺のものでオマエのもの、それぞれみんなのものなんだよ、っていう。“そろそろ本気で生きてみようぜ”とか“ドデカイこと 企んでさ”とか、歌詞の言葉もすごくよくて。今、この日本においてそういう感覚で生きることはすごく大事だと思うんですよ。そのほうが生きてる価値あるぜ、捨てたもんじゃないぜ、みんな! って、僕らが自信満々に言ってる姿がまさに“昇ってる3人”の姿じゃないかって思いますし。このアルバムを聴いて、そんな僕らにワクワクしてもらえたらうれしいです。
【取材・文/本間夕子】
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3RISE【初回生産限定盤】
HOME MADE 家族
2012/09/12[album]
\3,500(税込)
KSCL-2114~KSCL-2115
KRE
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3RISE【CD】
HOME MADE 家族
2012/09/12[album]
\3,059(税込)
KSCL-2116
KRE