山崎あおい

New album 「ツナガル」 Now on sale!!

等身大の目線で綴られた歌詞、キラキラと素直なメロディ。まっすぐで透明感のあるたたずまいそのままに、スッと耳に馴染む声が心地よい。北海道出身のシンガーソングライター・山崎あおい。1stアルバム『ツナガル』は18歳の瑞々しい感性と普遍の輝きに溢れた、可能性の塊みたいな1枚だ。記念すべき8月22日、まさにメジャーデビューのその日に行なわれたこのインタビュー、どうぞ彼女に出会ってください。

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Q:デビュー当日を迎えた今の気持ちはいかがですか。

山崎:今日なんだなって感じですね(笑)。まだちょっと実感が湧かなくて。 

Q:聞くところによるとすでにオリジナル曲は120曲以上にものぼるとか。その中からこの11曲を選んだ理由を教えてもらえますか。

山崎:やっぱり最初のアルバムですし、いろんな方に山崎あおいを知っていただく入口になるアルバムでもあるので聴きやすいものにしたいなと。なので地元の北海道でCMとか主題歌に使っていただいた曲や、ライヴでよく歌ってきた曲を中心にまとめました。すごくポップな曲が揃ったアルバムですし、どんな方にもどれか1曲ぐらいは好きになってもらえるんじゃないかなと思います。

Q:山崎さんが最初にギターを手にしたのは中学生の頃だそうですね。

山崎:中1の時ですね。実は小学校の頃から近所の楽器屋さんでギターを見てなんとなくカッコいいなと思ってて、6年生のときにお年玉で買ってはいたんですよ。かといって練習する理由もないので、ずっと放っといたんです。でも中1の時に映画『タイヨウのうた』を見て、YUIさんに憧れて弾き始めたんです。ホント突然スイッチが入ったっていう感じでした。

  

Q:どこに惹かれたんでしょう。

山崎:弾く姿がカッコいいっていうのもあるんですけど、とにかくYUIさんがかわいくて。YUIさんみたいな女の子になりたいと思っていろいろ真似してみた、その手段のひとつとしてギターを弾くっていう……ちょっと不純な動機なんですけど(笑)。

Q:言ってしまえばYUIさんになりたかった。

山崎:そう(笑)。でも弾き始めたらどんどん楽しくなってきて。もともとモノ作りが好きなので自分の曲ができていくのが楽しくて、どんどん書き溜めていったんです。

Q:曲の作り方は誰かに教わったりしたんですか。

山崎:しなかったです。最初は近所のカルチャースクールでギター基本だけ習って、あとはもう自分で。でも曲を作ってることは周りには隠してたので自分の部屋でこっそり(笑)。ギターも聴かせたことなかったんですよ。親が帰ってくる音が聴こえたら弾くのをやめるっていう感じで。練習段階を聴いてほしくなかったんですよね、なんとなく恥ずかしくて。

Q:もしかして負けず嫌い?

山崎:そうかもしれない(笑)。

Q:一方で、中学時代は部活で軟式テニスをやってらしたんですよね。

山崎:はい。部活で先生に怒られて悔しい想いを曲にしたりしてました(笑)。でも中3の夏以降は高校受験のために部活を引退したので、かえって時間ができてしまって。そこでオーディションに応募してみようかなって思ったんですよ。ギターを始めた時点から漠然とメジャーデビューは夢に見ていて。大きい場所で歌ってみたいし、音楽関係の方に自分の歌を聴いてほしいっていう気持ちもずっとあったので。

Q:結果は?

山崎:北海道大会のセカンドステージまでいったんですけど、そこで敗退してしまって、じゃあ来年リベンジしようと。ちょっとでも評価してくれる人がいるんだってわかったし、このオーディションが私の初ライヴだったこともあるので、だったら1年、鍛錬すればもっといけるかもしれないって。それで高1の夏ぐらいからライヴ活動を始めたんです。ちょうど友達とバンドも組み始めたのでライヴはすごい数をやってました。

Q:そこまで山崎さんを音楽にのめり込ませたものは何だったのでしょうか。

山崎:歌うことで救われていたところはあったと思うんです。私、すごい人見知りなんですね。でもライヴをやり終わった後はすごく自分に自信がついて、強い気持ちになれるんですよ。学祭で歌ったことで友達が増えたりもしたし。なので高校時代はもう音楽しかやってなかったですね、勉強そっちのけで(笑)。

Q:音楽以外に趣味はないですか。

山崎:放浪かな(笑)。今年のゴールデンウィークも私が今住んでる神奈川から筑波の友達の家まで自転車で行ったんですよ。電話で話してたら“じゃあ筑波まで来ちゃえば”って(笑)。90kmぐらいあったんですけど、スカイツリーの横を通ったり、利根川を渡ったり、すごく楽しかった。

Q:見かけによらずタフだなぁ(笑)。

山崎:体力には自信があります(笑)。知らない土地を自分の目で見て回るのが大好きなんですよ。

Q:ちょっと話が逸れましたが、地元で音楽活動を続ける中、2009年のオーディション“Music Revolution”でグランプリ、特別審査員賞のダブル受賞を果たされて。受賞した時の率直な気持ちは?

山崎:“グランプリを獲りたい!”とはそんなに思ってなかったけど、負けたくないっていう気持ちはすごくあったんですよ。なのでホッとしたというのが正直なところだった気がします。応援してくれてた地元の友達や親に“ああ、これでいい報告ができるな”って。

Q:やっぱり“負けたくない”が山崎さんの原動力なんですね。

山崎:うん。“勝ちたい”というより“負けたくない”がすごく前に出てるタイプだと思います。

Q:それにかなりポジティヴ。人見知りとはおっしゃいましたけど。

山崎:“絶対ダメだ〜!”とか口ではネガティヴなんですけど(笑)、実はスーパーポジティヴだと思います。“なんとかなる!”って。

Q:ちなみに曲はどういうふうに作っていかれるんですか。

山崎:歌詞とメロディは別々ですね。で、この歌詞だったらあのメロディが合いそうだな、とかそういう感じで作ってます。自転車に乗ってる時とか寝る前とか、よくメロディが浮かんでくるんですよ。自分のスイッチがオフになると誰かが勝手に頭の中で歌いだす、みたいな。

Q:歌詞は感情的な要素も大きかったりします?

山崎:そうですね、怒った時とかすごく切ない時、この気持ちを曲にして残したいなって。あと、独り言みたいな感じでパッと出てきた言葉が詞みたいだったり、曲のタイトルっぽかったりすることがあるんです。そう思った言葉をメモしておいてあとで膨らませたり。

Q:個人的には9曲目の「Paradox」という曲が特に好きなのですが、アルバムの中でもちょっと異色というか、アグレッシヴな曲ですよね。相当な怒りに突き動かされて書いてるなと(笑)。

山崎:はい(笑)。書いてるときのこともはっきり覚えてるくらい。世間の不平等を感じたときの殴り書きみたいな感じ。でも自分の歌う曲で嘘はつきたくないから。やっぱり歌詞に注目して聴いてもらいたいなと思ってるんですよ。歌詞にはそのときそのときの伝えたいメッセージや私の等身大な気持ちを書いているので、きっと共感してもらえる部分はたくさんあると思うんです。

Q:北海道からこちらに出てこられてご自身の書く詞や曲は変わりました?

山崎:自分では気づいてない部分もきっとあるけど、やっぱり変わったなとは思いますね。私、“高校生”が大好きなんですよ、高校生ならではのキラキラした感じとか。でも大学生には大学生のキラキラ感があるし、都会のゴチャゴチャした感じやコンクリートの感じも生で感じられるようになったので、今後はそういう曲が増えていくんじゃないかな。

Q:大人になるのは怖くないですか。  

山崎:むしろ楽しみです。年相応にいろいろな出来事を経験して、例えば友達のウェディングソングを作るとか、そういうのがすごく楽しみ。いつかは大人の恋愛の曲も書いてみたいですし。そういう素直な年の取り方をしていきたいなって。

Q:メジャーデビューされて、これからますます忙しくなると思いますが……。

山崎:でもスケジュール帳が埋まってるとすごく興奮するタイプなので(笑)。忙しい自分に自惚れる、じゃないですけど、時間的に縛られてないと頑張れてる気がしないんですよ。ヒマな時間が多いとどんどんダメになっていく気がして(笑)。

Q:あはははは。この先、どんなシンガーになりたいですか。

山崎:数年後に私の曲とかアルバムを聴いて“山崎あおいのこの曲を聴くと高校時代を思い出すよね”とか“この曲を聴きながらデートしたな”とか、みんなの思い出に入っていける曲をたくさん残したい。聴いてくれる人の日常に寄り添うような歌を歌っていきたいです。

【取材・文/本間夕子】

ツナガル【CD】

山崎あおい

2012/08/22[album]

\2,300(税込)

VICL-63897

ビクターエンタテインメント