中村舞子
LGYankees、Noa、CLIFF EDGE、KG、ISSA×SoulJaなど、多くのアーティストの作品にフィーチャリングで参加し、着うたのダウンロードではヒットメーカーとして知られる中村舞子が、コンセプトアルバム『7→9(セブンナイン)』をリリース。「ひと夏の恋」をテーマに、激しく切ない恋模様が描かれた作品になった。
Q:どうして夏をコンセプトに作ろうと?
中村舞子:2月くらいにオフで母国のフィリピンに帰省したのですが、冬なのに真夏のように暑くて。でも、そんな暑さがどこか心地よかったし、7年ぶりにいとこや親戚と会って人の温かいバイブスを感じて、自分のルーツを改めて実感しました。それでシンプルに、こういう暑い季節のアルバムを作りたいと思ったんです。
Q:フィリピンは冬でも暑いんですね。
中村舞子:はい。サンタさんが半袖を着るくらい (笑)。
Q:アルバム『7→9』は、インタールードを含む全7曲。最後に『End Roll』という曲もあり、恋愛のオムニバス映画を観る感覚で聴ける作品だと思いました。
中村舞子:映画が大好きなので、そこからインスパイアを受けている部分は大きいですね。アルバム1枚を通して、起承転結があるものを表現したいというのもあったし。自分で初監督した主演作品みたいな感じと言うか(笑)。
Q:実際に舞子さんご自身が、すべてをプロデュースされているんですよね。
中村舞子:はい。企画の段階から参加して、生まれて初めて企画書も書いたんです。周囲にいろいろ教わりながらで、たどたどしいところも多かったですけど(笑)。自身をプロデュースするということで、改めて自分を客観的に観ることもできたと思います。
Q:監督から見て、主演女優・中村舞子はいかがでしたか(笑)?
中村舞子:まだまだですね(笑)。でもそれは、「まだやれる!」という伸びしろがあると、いい意味にとらえていて。改めて、いつも次回作が気になってもらえるようなシンガーであり、アーティストになりたいと思いました。
Q:さて、アルバムは「ひと夏の恋」がテーマ。7月に恋して、9月に恋が終わるという。
中村舞子:私自身もそういう経験があったので、そのときに感じた気持ちがこの作品に反映されています。アルバムは3ヶ月の出来事を描いているのですが、哲学などの本を読むと、恋愛において3は大事な数字で、3ヶ月目というのはちょうど人が冷静になるタイミングだそうです。そういう意味で、恋が7月に始まり9月に終わるというのは、哲学的にも証明されているんじゃないかと(笑)。
Q:じゃあ、3ヶ月で大丈夫だったカップルは長く続くと?
中村舞子:恋愛には答えがないので、実際はどうか分かりませんけど(笑)。でも恋愛は、答えがないからこそ歌っていきたいテーマです。私もきっと、その答えを求めてさまよい続けているんだと思います。
Q:主人公の設定やストーリーみたいなものも考えたのですか?
中村舞子:はい。主人公は女の子で、彼は10コ以上年上の男性で、ふたりはアメリカの南のほうの海岸で出逢ってとか…。歌詞には出て来ない細かい部分も、実はちゃんとシノプシスはあるんです。アルバムはふたりの恋の進み具合によって、曲のジャンルも変わっていきます。作詞は、全体の流れを考えながらの作業だったので少し苦労しました。
Q:アメリカの南の海岸ですか?
中村舞子:なんとな〜くですよ(笑)。陽気な感じとか、車がないとどこにも行けないような土地柄というイメージ。でも、普通にみんなが共感してもらえるようなものを目指したので、いろいろ想像したり自分に置き換えたりしながら聴いてもらえたらうれしいです。
Q:舞子さんと言えばR&Bのイメージだったので、4曲目の『身も焦がれるほど』は、アッパーのハウスサウンドで意外でした。
中村舞子:確かにハウス系は珍しいですが、私の歌う音楽は、広い意味でポップスと捉えていて。そこにR&Bもハウスもロックも含まれているという感覚ですね。1曲目の『Naked Touch』は、私が今注目している90年代フレーバーのR&Bなので、4曲目あたりでは敢えてガチガチに現代っぽい音楽にしようと、『身も焦がれるほど』はエレクトロでシリアスな感じにしました。歌詞は、相手を好きすぎておかしくなっちゃいそうな感覚を歌っているのですが、ストレートになりすぎないように、英語が多めになっていますね。
Q:『End Roll』は、アコースティックですごく温かいナンバー。
中村舞子:私もこの曲は大好きです。ある種泥臭さのあるサウンドを最後に入れたくて。ギターと声が主役になっていて…余計な音で隠したりごまかしたりできないものに挑戦したいという気持ちもありました。
Q:キャロル・キングとかの、70年代シンガーソングライター系の雰囲気も感じられました。
中村舞子:キャロル・キングは私も大好きなので、そういう自分のルーツ的な部分も反映させることができました。そんな風にアーティストや楽曲をモチーフにして、曲を制作していくことは多いんです。今作では、リアーナの『ウィ・ファウンド・ラブ』や、ファーギーの『ビッグ・ガールズ・ドント・クライ』からも影響を受けています。音楽だけじゃなく映画や本など、いろんなものからインスパイアされています。
Q:アルバムを聴いた人には、どんなことを感じてほしいですか?
中村舞子:夏が来る度に、聴く人それぞれの夏の思い出と共に聴いてもらえるようなアルバムになると嬉しいですね。アルバムの恋は9月で終わりますが、もっと長く続く人もいるでしょうし。終わったとしても、ひたむきに恋愛をした経験は人生の糧となります。そんなことを感じていただけたらうれしいですね。
Q:今回は夏ということで。あと秋、冬、春のバージョンも作れますね!
中村舞子:よくそう言っていただくんですけど、考えてはいないですね。シリーズものにしたいと思って作ったわけじゃないので(笑)。
Q:今回は、SHIKATAさんや為岡のぞみさんなど、多彩なアーティストが作曲されている。それぞれの作曲家さんによって制作のやり方が違うので、大変ではなかったですか?
中村舞子:もともとフィーチャリングでいろんな方とやらせていただくことが多いので、その場に合わせて対応する瞬発力みたいなものは備わっているのかもしれません。今後もフィーチャリングはソロと同じ比率でやっていきたいと考えているし、フィーチャリングでできた人とのつながりをソロに活かして、逆にソロで学んだことをフィーチャリングにも活かしていきたい。自分の拠点を、ふたつ持つみたいな感覚です。きっとお仕事の量も増えて大変だと思うけど、それはずっとやっていきたいですね。
≪20th Sunset Live 2012 -Love & Unity-≫
8月31日(金)福島県・芥屋海水浴場・キャンプ場 特設ステージ
≪中村舞子「7→9」発売記念 Special Live & サイン会≫
9月15日(土)茨城県・WonderGOO守谷店 GOOst
≪MUSIC TRIBE 2012~音楽で繋げる希望の輪~≫
9月22日(土)岡山県・CRAZY MAMA KINGDOM
※出演時間やイベント参加方法など詳細は公式サイトを参照。
☆中村舞子オフィシャルブログ☆
⇒http://ameblo.jp/nakamura-maiko/