高橋優
『福笑い』や『ほんとのきもち』などのヒットで知られる、シンガーソングライターの高橋 優が、新曲『陽はまた昇る』をリリース。浅井リョウ原作のベストセラー小説を、神木隆之介の主演で映画化した『桐島、部活やめるってよ』の主題歌としても話題のこの曲について、お話をうかがいました。
Q:今回は、どんな風に制作を進めたのですか?
高橋 優:大事に作りたかったので、何となく作り始めるというようなことはしたくなくて。台本や原作を読ませていただき、撮影現場にも足を運ばせていただいて、そして監督や主演の神木隆之介さんともお話をさせていただきました。そうしたことがすべて終わった後で、やっとじゃあどういう曲がいいのか?と考え始めたという形です。
Q:原作や台本を読まれて、いかがでしたか?
高橋 優:高校生活の本当にリアルな部分を、忠実に文字にしているなという印象でした。僕も、生徒目線で先生や大人に物申すみたいな曲を書いているだけに、ああいうリアルで生々しい表現をあんなにもたくさん書けるのは、少しうらやましくもあり、ちょっとだけヤキモチを焼きましたね(笑)。
Q:撮影現場に行って印象に残ったことは?
高橋 優:もしかしたら見過ごしてしまうような、ほんの数秒のシーンのために、すごく大勢のスタッフが動き、たくさん時間を費やしているということ。本当にすごい情熱がなければやれないことだと、素人ながら感動しました。それだけに、現場の空気感に負けないものを提示しないといけない!と、いい意味でのプレッシャーも感じました。
Q:神木隆之介さんなどとはどんなお話を?
高橋 優:初対面だったので、ぎこちない感じの会話をした程度でしたけど(笑)。ただ、見学させていただいたお礼に、その場で『福笑い』を弾き語りさせていただいたんです。若い演者の方が多かったので、本当にみなさん盛り上がってくれました。少しでも現場のみなさんの元気になれたとしたら、歌ったかいがあったと思います。
Q:そうした過程を経て、新曲『陽はまた昇る』は、どういう気持ちで書かれたのですか?
高橋 優:映画では、僕が高校時代から抱いている感情や思い出など、大切にしていたものが、たくさん表現されていると思って。なので、映画に宛てて書くよりも、自分が常々思っていることを書けば、自然と映画に繋がるものになるだろうと思って書きました。
Q:行き場のない感じや苛立ちも表現しながら、前向きなメッセージを込めたものになりましたね。
高橋 優:最終的に伝えたいメッセージは、『陽はまた昇る』というタイトルに集約されています。当たり前のことだけど、ともすると忘れがちで、一生自分は落ち込んだままなんじゃないかとか、ずっと風邪が治らないんじゃないかとか、誰でもきっとそういう考えに陥ることがあると思うんです。でも実際はそんなことはなくて、すごい土砂降りでも単なる通り雨だったりすることもあるし。何か落ち込んだことがあっても、決してそれが続くわけではないと言うのが真理なのに、わざわざ自分が不幸だと思い込もうとしていないか?って。いい意味でも悪い意味で、今がずっと続くわけじゃない…波打つように、いいことがあったり悪いことがあったりする、それを全部ひっくるめて、いい人生だったと思えたら、それが最高だと思うんです。そんな中で今辛いと思っている人がいたら、僕は「大丈夫だよ、夜は明けるから」「雨は必ず止むから」と、声をかけてあげたい。そういう気持ちをシンプルに歌にしました。
Q:シングルには、ボーナストラックとして弾き語りの『陽はまた昇る』も収録。映画には、こちらのバージョンが使われているそうですが。
高橋 優:いつも基本的に、バンドアレンジを最終形として制作を進めているのですが、レコーディングの現場では、様々なアイデアが出るものなんです。バンドバージョンを録るにあたっては、今回ガットギターとアコースティックギターを絡めることで、また新しいチャレンジができました。そうした中でアコースティックギターの弾き語りも録ってみようとなったのですが、もともとアコースティックで作っているので、やっぱり歌いやすくて納得のいくいいテイクがいくつも録れましたね。そういうこともあって、もしかしたら生々しさや荒々しさ、力強さは、弾き語りのほうが表現できているのかな?とも思います。僕としてはどちらということはなくて、両方ともすごくよく録れていて満足しているのですが…映画のスタッフに両方聴いてもらったところ、アコースティックが採用されたということです。その判断を聞いたときは、すごく新鮮でしたね。
Q:弾き語りだと、メッセージがダイレクトに伝わりますからね。
高橋 優:試写を観ていただいた方から、ドキッとしたという反応をいただきました。ただどちらがいいかは、聴いた方におまかせします。
Q:C/W曲の『旅路の途中』は、オリンピックの競泳日本代表選手・入江陵介さんへ宛てた曲とのこと。もともとお知り合いですか?
高橋 優:はい。友達の紹介みたいな形で知り合って、プライベートでもみんなで一緒にご飯を食べたりしていて。オリンピックの最終選考会を観に行かせていただいたのですが、そのときすごく感じるものがあったんです。オリンピックを目指して身体や精神を鍛え、わずか5分にも満たないレースのために、すべてを注ぎ込む。そのプレッシャーや努力の量は、僕にはとても計り知れなくて。そういう戦いの場において、自分が思うこと曲にしました。入江君や代表選手のみなさんをはじめ、頑張っている人の姿を観て励まされている自分も確かにいるわけで…そうした目標に向かって一生懸命頑張っている人を讃えたい、これからも頑張っていくだろうすべての人の人生を応援したいと思って歌っています。
Q:入江さんに、この曲は届けたのですか?
高橋 優:オリンピックが始まる前に曲を渡したら、後日ツイッターで「ヘビロテしてます」とつぶやいてくれていて、すごくうれしかったです(笑)。帰って来たら焼き肉でも食べながら、語り合うのが楽しみですね。
Q:ちなみにオリンピックで注目している種目は?
高橋 優:高校時代僕は陸上部で、中距離の800メートルをやっていたので、陸上は気になっていますね。北京オリンピックでウサイン・ボルト選手が出て来たときはすごく驚いたので、今回も大記録が出たり、新たなヒーロー、ヒロインが登場することを期待しています!
≪ライヴ情報≫
■高橋優秋の全国ツアー~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012
10月12日(金)神奈川・神奈川県民ホールを皮切りに、12月11日(火)12日(水)東京・中野サンプラザホールまで、全国14都市で公演。
■「J-WAVE LIVE 813+ac」
8月13日(月)東京・Zepp DiverCity Tokyo
■RADIO BERRY ベリテンライブ2012 ~10th Anniversary Premium Show ~」
8月19日(日)栃木県総合文化センターメインホール
■「風とロック芋煮会2012@猪苗代湖」
9月15日(土)福島県・猪苗代スキー場 ろっくんろーるひろば
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