■ノスタルジックな8ビット映像に胸キュン!! ネタ元の“アーケードの墓場”って……!?
Q:映画を観ていて、任天堂のゲーム&ウオッチを思い出しましたよ!(その画像を見せる)
プロデューサーのクラーク・スペンサーは「ドンキーコング」が大好きでね!(笑)。でも、このゲーム&ウオッチは何年くらいの? 1980年代製か。似たようなモノを見たことはあるけれど、これは今初めて見るかな。当時、ポケットゲームみたいなモノが出始めた頃で、この手のゲーム機で僕も遊んだことはあるけれど! ところで、これもらっていい?(笑)
Q:いずれにしても古いゲームを参考にしていますよね! 8ビット映像がとても懐かしく。
そうだよ。ただ、基本的にはアーケードの巨大なゲームの世界が舞台なので、ポケットタイプや家庭用のゲーム機のリサーチはしていなかったけれどね。その分だね、それこそコンセントを抜かれてお払い箱になって置いてあるアーケード・ゲームの倉庫みたいな場所が実はあって。そこに皆で行って、ゲーム機をいじるなどして研究をしたよ(笑)。我々はその場所を“アーケードの墓場”と呼んでいた。まるで墓地みたいなカンジだったな!(笑)
Q:なるほど。現実には胸が痛むような“アーケードの墓場”的な場所があるわけですよね!
草案では“アーケードの墓場”に行くことになっていて、取り壊しになったゲーム機がバラバラに解体され、パーツごとに売られちまうみたいな悲しい話を考えていたけれど、ちょっとそれ、切ないにもほどがあると(笑)。でもね、ほかのディズニー・アニメーションのチーム――『ムーラン』や『リロ&スティッチ』――はリサーチ旅行と称して、フィジーだのハワイだの中国だのエライ豪華な旅行をしていたが、僕らはスタジオから1キロくらい離れたアーケード・ゲーム機の墓場くらしか行けなくて、とっても残念だったな。え!? 『シュガー・ラッシュ』は傑作だって!? じゃあ、文句は言わないよ。ごめんなさい!(笑)
■ラセターに言われたよ。「何のためにお前に声をかけたと思っている?」ってね(笑)。
Q:もともとディズニー側に本作のアイデアがあったそうですが、基本的には監督のアイデアだったそうですね? 似たようなアイデアを持ちよって、イイトコだけ足しましたか?
そうだよ。ディズニーは――特にジョン・ラセターだ――ビデオ・ゲームを舞台にした映画を作るアイデアを15年間くらい温めていたらしく、それまでいろいろな人がドラフトを書くなどはしていたようだ。ただ、僕のほうにも昔からアイデアはあって、それでジョン・ラセターに「映画を撮ってみないか?」と言われた時に、「15年前から温めているということは、もともとある誰かが書いた脚本を改変する作業をしなきゃいけないの?」って聞いた。すると、「何を言っている? 何のためにお前に声をかけたと思っている?」ってね(笑)。
Q:ナント! 泣けるエピソードだ! 神ラセターが戻って、ディズニー変わりましたね!
15年間かけて出てくるモノ出てくるモノ、すべてをボツにしたことにはワケがあるってわけだ(笑)。どうにも箸にも棒にも引っかからないようなアイデアばっかりだったから、15年間実現しなかったわけだ。それを「ぜひ君のアイデアで実現してくれ!」と言われてね。
Q:それでいい作品になったという。最初ターミナルは便所の設定だったって本当ですか?
おう、どこのどいつがそんなウワサを流しているのかな!(笑) まあ、脚本のフィル・ジョンストンとストーリーを練っている時の話で、ちょうど当時はラルフではなくて、フェリックスが主人公だった。その段階でもう、いろいろなことを考えてはいて、ゲーム・セントラル・ステーションのアイデア自体はあったけれども、魔法のポータルみたいなイメージで「トイレの水をつたってほかのゲームの世界に行けるアイデアはどう?」 「それ最高じゃん!」みたいなことになって盛り上がってね!(笑) それで実際に脚本に書いたわけだが、一夜明けて冷静になって脚本を見直してみると、「このアイデアを考えた野郎は誰だ?」って(笑)。使えるわけねえじゃねえかって話になって、即ボツだよね!(笑) いかにストーリーの作成が試行錯誤の繰り返しで行われているかっていう、いい例だと思うけれどもね。その時はいいと思っても、時にそうでもないことってよくあることだよね(笑)。
■人生が変わると勘違いして、間違った方向に行ってしまうことが哀しいが、ある
Q:それにしても、主人公ラルフの心情が泣けますな! 己の役割を、無理を承知で超えたいと思う――これは実社会で当てはまるリアルな状況で、サラリーマン号泣必至ですな!
そうだ、そうだよ! 現実社会で皆が抱えているジレンマのようなモノを、体現したキャラクターだよね! それによって観客は共感できることがあるけれど、自分の経験のことを重ねて観ることも可能なわけだ。いろいろなことをやりたくないと思っていても、やらなくちゃいけない状況だってあるよね? そして、そういう時はたいがい、視野が非常に狭くなっている。ラルフがメダルを手に入れればヒーローになって、皆に愛されるはずと勘違いすることと一緒のように、これさえあれば、これさえやれば、きっと自分の人生が変わるって勘違いして、間違った方向に行ってしまうことが人にはあるよね。哀しい話だ。
Q:ラルフの気持ち、分かる人大勢いると思います。これは“あれオレ映画”の最高峰です!
でもね、観客はラルフを観てね、それって違うと思うわけさ。そんなことで幸せに、ヒーローにはなれないよって思って、ドキドキ、ハラハラしてラルフに共感しながら、冒険を追って行ける。それは観客にとっての入口というか、入って行けるポイントになると思う。
Q:最後ですが、弊社で特集ページを作る予定です! どういう内容を希望しますか?(笑)
まず、画面のデザインを8ビット風にして、この映画に登場するゲームのフィックス・イット・フェリックス、ヒーロズ・デューティー、シュガー・ラッシュみたいなカンジで、各ゲームのスタイルで作る! それで頼むよ!(笑)
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