■ニューヨークにグランド・セントラル・ステーションがターミナルの元ネタ!!
Q:ゲームという無機質世界で勃発する胸熱ドラマ! これ、どの天才のアイデアですか!
実は10年ほど前に社内でビデオゲームの世界の映画を作りたいという話があったけれど、それを実現するいいストーリーがなかった。棚上げ状態だったわけね。それで4年前、「シンプソンズ」を手がけていたリッチ・ムーア監督がディズニーに現れて、そのアイデアを検討しようと。彼は御幼少の頃ゲーマーだったので、とても面白いと思って企画は進行したよ。ゲームのキャラクターが主人公で、まったく同じ仕事を30年間続けていて、毎日毎日繰り返す人生――もっとほかに何かあるだろうと考えていくはずで、それはヒューマンなテーマで、観客も感情移入すると皆で思ったよ。それが発端だったような気がするよね。
Q:とにかくターミナル駅=ゲーム・セントラル・ステーションのアイデアが秀逸ですよね!
ゲーム・セントラル・ステーションは、キャラクターたちがどうやって移動するか、最初は全然思い浮かばなかったけれど、そこが“重要なポイントであること”は分かっていた。実は最初のアイデアはトイレで、そのアイデアはなくなったけれど(笑)、実は脚本家の一人がニューヨークに在住していて、監督のリッチ・ムーアが度々訪れては、彼とMTGをしていたよ。それでニューヨークにグランド・セントラル・ステーションという巨大なターミナル駅があるけれど、そういう場所に集えばいいだろうということになったわけで(笑)。
Q:このアイデアは本当に夢があります。まさにディズニーで独創的なシチュエーション!
ゲームセンターが閉店した後に、キャラクターたちが集うハブだったらどうだろう? って、そこで話がすごく発展した。僕も電話で話を聞いた時に、それはすごくいいアイデアだと思ったよ。僕が5歳、7歳の時に、このアイデアを聞けば、本当にキャラクターが暮らしていると信じたはずで。信憑性と説得力があったので、その方向性で決まったわけだよ。
■モデルゲームは「ドンキーコング」、1980年代のビデオゲーム会社にも相談した
Q:しかし、誰がトイレと? 全然違う映画になっていましたよね。不採用で良かったな(笑)。
ですね(笑)。映画制作は楽しいモノで、いろいろとアイデアが生まれては消えていくものです。でも初めはトイレと言いながら、そうはならないと思っていました(笑)。ほかにも大事な場所があるって。だからとりあえずトイレはキープで、その後のアイデアに期待したってわけです。それでグランド・セントラル・ステーションをヒラメイタってわけです。
Q:ところで、日本のキャラクター使用はムーア監督の要望で、交渉を担当したそうですね?
まあ、ナーバスになったよね(笑)。プロデューサーとしては超心配で、本当に実現するかなと思った(笑)。しかも、あれだけの数のキャラクターのクリアランスを獲ることは非常に大変だということが目に見えていたので。ただ、一方で映画にとって絶対大事なことも分かっていた。あのキャラクターがいる、いないで、説得力が全然違う。僕たちのオリジナルのキャラクターだけでは、力不足だろうと思ったね。ただ、そうはいっても上手くいかなかったらどうしよう、ということは考えたよ。また、タイミングも大事で、映画が完成するタイミングでクリアランスを獲る必要があったので、最後まで悩ましかったですね。
Q:その心配は無用だったのでは? 本当のゲームのキャラクターみたいじゃないですか!
この映画のために僕たちのオリジナルのゲームが必要であることは最初から分かっていて、「フィックス・イット・フェリックス」、「ヒーローズ・デューティー」、そして「シュガー・ラッシュ」だよね。最初「フィックス・イット・フェリックス」は非常に時間をかけてリサーチを行い、1980年代の8ビットのビデオゲームを作っていた会社にも相談したよ。そして、どういう要素を採り込めば上手くいくかもよく研究した。そのモデルになったゲームが、「ドンキーコング」だよね。ゲームの開発会社の方々に見せてダメ出しをしてもらって、本当に1980年代の8ビットのゲームっぽいかどうか、何度か確認して作っていったよ。
■日産自動車の工場でバンパーを付けていた経験が、今の仕事のベースになっておる!
Q:そういえば日本で働いていたことがあったとうかがいましたが、それって本当ですか?
そうですね。1989年に来日して4か月、日産自動車の工場の組み立てラインでバンパーを車に付ける仕事をしていました。当時日本の経営手法を勉強したいと思っていて、日産自動車では実地体験が可能な機会があったので、参加したというわけです。当時は世界中が日本の製品が優秀である理由を不思議に思っていて、それを自分の確かめてみたかったわけですね。それで、その来日当時に勉強になったことは、社員が自分の仕事に誇りを持っているということでした。やがてアメリカに帰国してプロデューサーの仕事を始めましたが、今でもスタッフ全員に言っていることは、どのポジション、どの仕事であっても、それぞれ重要な役割を果たしていて、いい作品を作るために、それぞれが大事な仕事をしているということを説いています。最終的にクレジットには名前が載るわけで、自分の作品だと思って誇りを持って頑張ってほしい、仕事をしてほしいと、いつも皆に言っています。
Q:自分たちの仕事の誇りを自覚するって、この映画のキャラクターたちに似ていますね!
そうですね! まったく、その通りですね(笑)! ただし、意識はしていなかったです。
Q:ムーア監督にもうかがいましたが、プロデューサー的にどういう特集を希望しますか?
おお、僕の要望は2個あって(笑)、いろいろなアニメーションのスタイルが楽しめる特集ページがいいよね! 3つのゲームの世界が展開するけれど、「フィックス・イット・フェリックス」は8ビットの世界で、動作も故意的にスタッカートの世界だよ。「ヒーローズ・デューティー」は現代的なシューティング系ゲームで、現在のCGを駆使した最高のアニメーションになっているよね。そして「シュガー・ラッシュ」はお菓子の世界で、非常にマンガチック、カートゥーンに近いモノだよね。だから1本の映画で、3つの映画を観ているような状態だよ! アニメーション的に観るとね! そこをフィーチャーしてほしいね!
Q:分かりました! 担当がきっとオーダー通りのページを完成させると思います!
ああ、それとね、感情に強く訴える物語なので、そこを大きく取り上げてほしいね。キャラクターのラルフ、ヴァネロペが一緒になって成長していくからね。ラルフは最初、自分のことが嫌いなわけだ。でも、自分を肯定していくことを知るよね。変わらなくていい、ということをね。それはとても大事なメッセージ。現代人は変わらなくちゃいけないということで、ものすごいプレッシャーを感じているけれど、今の自分が持っているモノ、それを最大限に活かしていくことがベストというメッセージを、皆さんに伝えてほしいです。
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