James Franco

オズと似たような人生だった――オレもある意味、変化したってわけよ

 

Q:1939年版映画や原作を読み返すなど前日譚に挑戦するにあたってどう研究しましたか?

 

ああ、タイトルは忘れちまったけれど、原作は最初の4冊ほど、手にしたくらいかな。ただ、ガキの頃大ファンだったから、全作読破はしている。その一部を読み返したってわけだ。どっちかって言えば1939年の映画じゃなく、原作からアイデアを拝借している。原作で少しだけオズのバックストーリーに触れている箇所があったから、それを膨らませたよ。

 

Q:ライミ監督にインタビューした時にオズ役はアナタにピッタリだと言っていて、それは俳優じゃなく、個人的側面がオズにピッタリだったと。それって、どういうことですかね?

 

うーん。ライミ監督とは、もう12年来の知り合いでね。オレの若い頃を監督はよく知っているわけだ。特に『スパイダーマン』の1本目の頃は――もちろん役者として仕事熱心ではあったけれど、自己中心的な面があってね(笑)。コラボレーションが上手くいかなかったきらいがあったな。今はもうリラックスしていて、監督も数本、自分で手掛けているので、コラボレーションの意味もよく理解している。オレもある意味、変化したってわけよ。

 

Q:なるほど! 主人公のオズとよく似ていますね。この映画は、彼の成長劇でもあります。

 

今回演じているオスカー、そのオズと似たような道程をオレも辿ったかもしれないね。オズはとても未熟で自己中心的なキャラクターから、この旅を経て他人のために何かをすることを知るじゃないか。自分を忘れ、他人を大切にするキャラクターになるわけだからね。

 

これからはCGで作った猿の、オリジナル脚本の映画にしか出ないよ(笑)

 

Q:お互いに映画監督同士という意味で、ライミ監督とはディスカッションをしましたか?

 

具体的には覚えていないけれど、基本的にライミ監督と一緒に作り上げていった感じだよ。特にキャラクターの道程について――自己中心的な男から他人のために何かをする男になるまでの旅について、どうするかを話し合ったな。表面上の、チャーミングなペテン師というキャラクターや、他人を誘惑して上手くダマすということ、そういうキャラクターを一緒に作り上げていったわけさ。ただ、それもこれも脚本による要素は多かったと思うな。

 

Q:ところで、アナタの出演作、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(11)に引っかけて、“猿”を相棒にした“前日譚”にアナタが出れば、大傑作になるっていう人が、いますけれど(笑)。

 

じゃあ、これからはCGで作った猿の、オリジナル脚本の映画にしか出たくないね。もう、作らない予定だ。『キング・コング』のリメイク、『ジャングル・ブック』のリメイク、ほかに何かあったって? 『愛は霧のかなたに』だって? じゃあ、もう、それでいいよ(笑)。

 

Q:続編の話があるとかないとか!? 未来のストーリー展開について、どう希望しますか?

 

原作ではオズマという女性のキャラクターが活躍するので、彼女をどうのこうするハナシも出てはいるが、個人的にはオズとチャイナ・ガール(陶器の少女)、そしてフィンリーが加わって、3人がアドベンチャーに繰り出していく内容が面白いと思う。ピーター・ボグダノヴィッチ監督の『ペーパー・ムーン』のように3人か、あるいは2人がグルになってのペテンが最高だ。そういう内容で、と、個人的にディズニーさんにピッチはしているがね。

 

セットとCGの見事なコラボレーション――いいシナジーが生まれたと思う

 

Q:さて、本作で圧巻だったポイントは、オズの“偉大なる魔法使い”としてのオチでした。それは半分セット、半分デジタルの本作の世界観だから成し得たことで、もしもすべてをデジタルで作った映画であれば、オチの説得力が半減すると思いますが、いかがでしょう?

 

まったく同感だな。今回のデザイナーはロバート・ストロンバーグといって、『アバター』、そして『アリス・イン・ワンダーランド』などでアカデミー賞を獲っている巨匠だ。ただ、この2作品はほぼブルーバックで撮っているはずで、実際にセットを作って撮影したわけじゃあない。今回のライミ監督とロバートはブルーバックだけじゃなくて、実際に生のセットを作っていて、コンビネーションで映画を作っていた。それを強く要望したわけだよ。その結果、今言っていたような、いいシナジーで、両方の要素が見事に交わったと思うな。

 

Q:実際に生セットがあったほうが、生身の俳優たちは感情を乗せて演技しやすいですよね。

 

この映画はCGのキャラクターと生身の人間が共演するシーンが少なくないが、CGバリバリの映画も実際に多いわけだ。もちろん、キャプチャー技術は洗練されているけれども、陶器の少女はジョーイ・キング、フィンリーはザック・ブラフが演じていて、オレが演技している時にもほぼ“いた”わけだ。時に、彼らがいない時はパペットやドールを置いて撮影したが、それでもイヤモニで彼らが演じている声を聞くシステムを採った。だから、ファンタジックな世界でリアルな存在を作り上げることが可能になったということだろうね。

 

■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

© 2013 Disney Enterprises, Inc.

auヘッドライン|ニュースEX|© テレビ朝日/KDDI