KIM Jee-Woon

キム・ジウン監督

INTERVIEW

アーノルド・シュワルツェネッガー“完全復活”作『ラストスタンド』の公開を祝して、3週ブチ抜きで掲載するインタビュー第1弾ゲストは、本作のメガホンを握った勇者、キム・ジウン監督! 『悪魔を見た』(10)では名優イ・ビョンホンを血の復讐者に染め上げ、シュワには“アジアのジェームズ・キャメロン”と言われちゃった韓国屈指のヒットメーカーが、自身のハリウッド・デビュー作で目指したモノは何か? ジウン監督に話を聞いた。

感謝しかない!!

男シュワルツェネッガーには

慣れない僕をかばって闘っていた――

Q:ストレートな筋肉アクションではなく、ユーモアもいっぱいあってサプライズでした!

 

ただのアクション映画にしてしまうことは避けたかったですね。そうならないようにするためには、味のあるキャラクターたちの登場が不可欠でした。キャラクター全員に、自然なユーモアのニュアンスを与えることに努めました。ただ、そのシーンで笑わせるためではなく、そのキャラクターの人柄として、もっと長く続く印象を与えられるように、です。

 

Q:それにヤツは自分自身のことを茶化してみせることを恐れてないようですな! それは意外なことだと思いますが、今回一緒に仕事をしてみて、何か驚いたことがあるでしょう?

 

彼に感謝していますよ。僕はハリウッドのシステムというヤツに慣れていない。そのため、物事が先に進まないことがあって、都度プロデューサーや助監督が急かしたものです。そういう時、アーノルドがいつも出てきて、「ジウンはアーティストだ。考える時間を与えてあげなきゃ!」と言ってくれました。それは僕にとって、とてもありがたいことでしたよ。

“過去に華やかな立場にいた年配の人”

を描くことを伝えることに躊躇した――

Q:先に監督に決まっていたこと=あなたがシュワを主役にチョイスした、ということですよね? 州知事の仕事に専念していた彼に、この主役をオファーした理由は何でしたか?

 

僕は、この映画の主人公を“過去に華やかな立場にいた年配の人”として描こうと思っていました。アーノルドと初めて会う機会を得た時、それを彼に対して伝えることに多少の躊躇を感じました(笑)。だって、多くの人は彼のことを『ターミネーター』(84)のヒーローとして覚えていますからね。でも、驚いたことに、そのMTGでアーノルドのほうが希望しました。すなわち、かつてのヒーローとして、です。そのことを聞いた瞬間、僕は、アーノルドとコラボレーションすることこそ、この映画を成功に導く道だと思いましたよね。

 

Q:話は変わりますが、スタントが秀逸でした! とりわけ難しかったモノはどこですか?

 

全部です(笑)。カーチェイスは大変でした。人のスタントも難しかった。最大のチャレンジは、アクションシーンにキャラクターの感情を反映することで。ただ、ビジュアル的に興奮するアクションは避けたかった。スタントのお披露目会いにはしたくなかったわけで。アクションを通じても、キャラクターを見せたかった。それが一番難しかったことですね。

『グッド・バッド・ウィアード』(08)と

『ラストスタンド』は全然違います

Q:そもそも、ハリウッドの監督デビュー作に、この作品を選択した最大の理由は何ですか?

 

実は『箪笥<たんす>』(03)の後、ハリウッドの無数のオファーがありました。でも、『箪笥<たんす>』(03)がホラーだったせいで、オファーもすべてホラー映画でした。また同様のジャンル映画を作ることに興味がなかった上に、撮影の準備がほぼ整っている状態だった。僕はそこに行って、監督をすればいいだけだったわけです。しかし、『ラストスタンド』は準備の初期段階でした。すなわち、最初のストーリーを練る段階で関わっていくことが可能だったわけです。それに、戦闘経験のないローテクな人たちが、ハイテク装備の凶悪犯軍団と戦うというアイデアにも惹かれました。それはすごく面白いと思いましたね。

 

Q:『箪笥<たんす>』(03)はハリウッド・リメイク、『グッド・バッド・ウィアード』(08)も映画祭で上映。海外での知名度は高まっていましたが、ハリウッドを狙っていましたか?

 

『箪笥<たんす>』(03)、『グッド・バッド・ウィアード』(08)、『甘い人生』(05)は、海外で成功しました。それで、僕も世界に出るという自信は感じていました。『ラストスタンド』のプロデューサーも、『グッド・バッド・ウィアード』(08)を観て気に入ってくれました。だから、僕に『ラストスタンド』を任せたいと思ってくれたと思いますね。とはいっても、両作品は全然違います。『グッド・バッド・ウィアード』(08)のほうは、自分の目的のために遠くに出て行く男のドラマで、『ラストスタンド』は遠くから自分たちの目的を達成するために来る悪者を、田舎街で暮らす普通の人たちが阻止するドラマですからね(笑)。

 

■構成/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

 

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