INTERVIEW

日本が連合国に降伏、第二次世界大戦が終結した1945年の8月。ダグラス・マッカーサー元帥率いるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が上陸してアメリカの占領統治が日本で始まるが、誰もが知っている歴史の1ページの裏には驚愕の秘話があった――。岡本嗣郎のノンフィクションを原作にした『終戦のエンペラー』は、終戦直後の日本を舞台にマッカーサーが命じたという“極秘調査”を描く歴史サスペンス超大作だ。そのカリスマ軍人を演じたトミー・リー・ジョーンズにインタビューを行い、映画にまつわる話を直撃! 来日ゲスト恒例、特集ページへのリクエストは――ちょっと今回は怖くて聞けなかったわ!

 

■歴史上で偉大な功績を残した人物に、興味を抱かないはずがない

Q:一度観れば忘れないような秀逸なストーリーでしたが、出演の決め手は脚本でしたか?

 

とても興味がある脚本で、特にテーマに惹かれたね。今回、このキャラクターを了解した理由は、脚本や題材が気に入ったからだった。今も続いている日本とアメリカの関係について描いた作品だったからね。また、日本が太平洋戦争によって壊滅的な打撃を受けた後、どのように復興を遂げていくかという過程にも関心があったよ。それで出演したわけだよ。

 

Q:今回演じたダグラス・マッカーサー元帥ですが、そもそも関心や興味は、ありましたか?

 

そうだね。なによりもマッカーサー元帥に興味があったからだ。半世紀以上にもわたって人々を魅了した人物だ。歴史上で偉大な功績を残した人物に興味を抱かないはずがないよ。

 

Q:実在の人物、しかも有名な近代史の人物ということで、プレッシャーはなかったですか?

 

脚本に目を通した時、マッカーサーにまったく似ていないため、演じないほうがいいかなと思ったが、少し時間がたって考えた時にコーンパイプをくわえて帽子をかぶれば誰だってマッカーサーに見えるだろうかとも思うようになったよ。終戦直後の日本の復興を目指したマッカーサーやフェラーズ准将の努力に感動して、この映画に出たいと思ったわけだ。

 

■あの昭和天皇との対面――アメリカが脅威だった時代は終わったことを意味する――

 

Q:どうでしょう、マッカーサーを演じる前と後とで、彼の印象に何か変化はありましたか?

 

変わったというかね、前々からマッカーサー元帥には尊敬の念を抱いていた。もちろん知っていたが、今回の映画に関わることで脚本以外の文献にも目を通したよ。彼の人生に対して、理解が深まったと思うわけだ。そして両国間のために、どういう貢献を彼がしたかも分かって、彼は本当の意味での英雄であることを知った。余計に尊敬の念が深まったよ。

 

Q:昭和天皇との対面シーンが印象的ですが、その時元帥は何を感じていたと思いますか?

 

マッカーサーの意図としては会見をすることで天皇陛下、そして日本人に対してアメリカの存在を提示、そして民主主義という考え方が脅威ではないことを統治するという立場で理解してほしいという思いがあったと思う。もっと言えばアメリカが来た、この先アメリカが占領する、でも、アメリカが脅威だった時代は終わったことを伝えたかったと思うね。

 

Q:その昭和天皇を歌舞伎俳優の片岡孝太郎氏が演じていましたが、共演はいかがですか?

 

タカ! 素晴らしい演技だった。とても訓練を受けた俳優だと思う。教育も受けている。実際に歌舞伎という舞台で演じている人にとっては、おそらく演じるということは難しくないことだろうとは思っていたよ。御父上の許しをもらって、もっと映画に出ればいいのに。

 

■両国間は今でもハッピー・エンディングであって、今日まで続いている――

Q:日米関係の象徴的な時代を描いていますが、改めてストーリーついて何を想いますか?

 

日本が原子爆弾だけでなく、さまざまな爆撃を受け、ひどい目に遭い、終戦後の生活が大変だったことは知っているけれど、その後、日本がどういう経緯を経て現在のような資本主義の国家を形成していったかは、マッカーサーの役を演じるまでは詳しくなかったかな。

 

Q:歴史にフィクションを混ぜていますが、この作品におけるバランスは、どう思いますか?

 

フェラーズ准将と日本の女性との関係などは、フィクションかどうかは分からない。ただ、政治的、地理政治学の中にラブストーリーという方法があることで、この映画のストーリーは進行していく。中には残念な結果を迎えるエピソードはあるが、両国間は今でもハッピー・エンディングであって、続いていて発展している。今日まで続いている。永遠にね。

 

■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

 

© Fellers Film LLC 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

auヘッドライン|ニュースEX|© テレビ朝日/KDDI