ジェイミー・フォックス
『アメイジング・スパイダーマン2』、豪華BIG3ヴィランのうち、ジェイミー・フォックス演じる電撃魔人エレクトロが最強に泣ける! 誰にも必要とされない人生だった電気技師マックスが、その疎外感が臨界点に達した刹那、すべてを破壊する衝動に駆られ、モンスター化するキャラクターで、演じるジェイミー・フォックスも「共感を集めるキャラクターだ」と同意! 写真ではおどけていますが、数日間は考えちゃう深いインタビューです!
■電撃魔人エレクトロには驚愕の背景が! “哀しいモンスター”の壮絶人生!
Q:電撃魔人エレクトロは“哀しいモンスター”のようですね! どう分析をしていますか?
まあ、エレクトロの話をする前に、コミックブックに登場する人物マックス・ディロンの話をしないといけないな。彼は42歳。一度結婚したが妻に逃げられ、今は母親と一緒に暮らしているサエない電気技師だ。母親は彼を溺愛しているが、彼をガキ扱いして、その結果、彼の成長を止めている。だから彼は42歳になっても、生活の基盤をちゃんと築けていないわけ。そうしたバックストーリーがあったことは、俳優としてとてもうれしかったよ。
Q:けっこうなバックストーリーですね(笑)。日本人も共感する身近なタイプだと思います。
彼は母親に裏切られ、社会に裏切られ、仕事にも裏切られた。家族に裏切られ、愛する人に裏切られ、仕事はさんざん、という状況は観客も共感するよね。その3つのスイッチが切れたら、誰だって恐ろしい濁流に投げ出されるよ。僕らは、マックスが誰からも名前で呼ばれたことがないという事実を描きだした。その彼に突然、スパイダーマンが「やあ、マックス。君は僕の友達だ。僕の目となり耳となり、いろいろなことを見聞きしてくれる?」と話しかける。マックスにとってそれは、ずっと砂漠で生きてきた人間が指ぬき一杯分の水、いや、むしろスイミングプールいっぱいの水をもらったようなものだったわけだよ(笑)。
Q:それだけに“スパイディ”と再会した時、彼が忘れてんじゃねえかってヒヤヒヤでした。
エレクトロになった彼の目的は、人々を傷つけることではない。スパイダーマンに自分を友達だと言ったことを認めさせたいだけだ。「わかった。もういい。お前には友達になってもらえないし、みんなからは気持ち悪いとか変人だと思われている。だったら、自分の持っているパワーでみんなに危害を加えることにするさ」と、エレクトロになるわけだよね。
■本格的なヴィランは初! ジェイミー考案の“アドリブ”セリフが素敵すぎる!
Q:さてエレクトロですが、そもそもマックス時代に、どうやってパワーを手に入れますか?
彼はオスコープ社で電気技師として働いていて、配電網を設計している。実際には助手でしかないけどね。そのオスコープがさまざまな実験に使っているウナギが入った大きな水槽に落ちたことでパワーを得る。そしてそのパワーの都合のいい使い方を覚えていくわけ。
Q:これまで悪役はほぼ演じていないですよね。ヴィランを演じる気分はいかがでしたか?
本格的な悪役はこれが初めてだね。悪い奴は、たとえば『ドリームガールズ』(06)でも演じているけれどね。でも今回のような悪役を演じる場合には、塗り絵で言うと、線をはみ出して色を塗ることができる。カッコいいセリフを言うことができる。監督にはアドリブをさせてほしいとお願いした。そして僕が考えたフレーズが、“Itsy bitsy spider, went up the water spout. Down came Electro and wiped the spider out! (小さな、小さなクモが排水管を登っていった。そこへエレクトロが降りてきてクモを流しちゃった!)”だった。
Q:電気技師マックスの姿を知っているので、それとはかけ離れた粋なセリフですよね(笑)。
そして「ちょっとあることを試してみる」と言って、背中を向けてそのメロディーを口笛で吹いた。悪役には制約がないから、そういういろいろなことができる。善玉には制約があるが、だからこそ悪役がこれほどクレイジーだと善玉が良くなる。その点が本当に楽しかった。これほどクールな要素のある悪役ばかりではないからね。僕が着たスーツはランボルギーニを彷彿させると言ってもいいくらいで、最高にカッコいいといつも思っていた。
■マックスにはいじめ問題が関係しているが、彼自身の“狂気”も見逃せない――
Q:実はマックスは、社会性を帯びたキャラクターですよね。いじめ問題にも関わってくる。
確かに。今の世の中を見ると、いじめの様相が以前とは変わってしまった。ウチの娘が、高校でいじめ撲滅キャンペーンに取り組んでいただが、誰かがいじめをしていると娘から聞かされて、学校に飛んで行って何とかしようと思った。ところが娘から、「学校で実際にいじめが起きているわけじゃないの、お父さん。ネット上よ」と聞かされてビックリだよ。僕は子どもの頃、いじめっ子に対処することでコメディーの腕を磨いていった。世界一のコメディアンだったよ。いじめっ子を笑わすことができなければ、叩きのめされるからね。
Q:そういう意味でもいじめられる側のマックスは、オレたちが共感する中年男ですよね!
そうだね。でも彼には別の一面もある。何かちょっとおかしいところがある。神々に異議を申立てているような感じだ。他の人たちは誰もが最高にいいカードを配られているのに、自分のときは何が起きたんだ? どうして僕は魅力的じゃなかったんだ? どうして僕には恋人がいないんだ? どうして僕には一級品のそろったパッケージが配られなかったんだ? スーパースターになる必要はないけど、せめてそれくらいはもらってもよかったんじゃないかってね。だから他の人とはちょっと違って、彼は狂気を秘めているの。確かにいじめられたことがきっかけにはなったけれど、マックスの内面の問題でもあるわけだよ。
映画『アメイジング・スパイダーマン2』は、2014年4月25日(金)より、TOHOシネマズ日劇ほか3D&2D全国ロードショー!
■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)
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