インタビュー


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第29回城戸賞を受賞した和田竜のオリジナル脚本を、『ゼロの焦点』(09)の犬童一心監督、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(08)の樋口真嗣監督が異色のダブルメガホンで実写映画化したエンターテインメント時代劇『のぼうの城』! 戦国末期、豊臣秀吉と石田三成の20,000人の大軍に屈せず、たった500名の兵で勝利を収めたという実在の武将・成田長親の奇策と運命を描く、“大逆転”スペクタクル・エンターテインメント超大作だ。その野村萬斎演じる“のぼう様”を攻める豊臣軍勢・石田三成役の上地雄輔、大谷吉継役の山田孝之に、撮影現場のこと、ダブル監督システムのこと、お互いのことについて聞いた!

■ 日本映画史上、未体験のスケール!!  親子三世代で楽しめる映画になった!!



Q:スペクタクル活劇に仕上がっていましたね! 完成した映画を観た感想はいかがです?

上地: 本当にその通りだと思いました。丘の上で戦況を見ているシーンでは、実際には木しか見えていなくて(笑)。ぼんやりとしたヒントを元に目線や感情を作っていたので、演技していく中で作ったリアルを、完成した映画を観て改めて発見したっていう感じですね。


山田: ポジション的に前線に出ない武将役だったので敵の顔が見えていないから、それが観えたことが面白かったことと、ここまで壮大にした監督たちがすごいなって思いました。僕は歴史が全然詳しくなかったので撮影前に大谷を調べましたが、子どもたちが楽しみながら歴史を知るような作品になったので、親子三世代で楽しめる映画になったと思います。


上地: 日本映画でここまでの規模を経験したことがなかったので、それもすごかったです。


Q:武闘派的な石田三成、冷静沈着な大谷吉継というキャラクターについて教えてください。

山田: 大谷の尽くす姿勢、ブレない姿勢がカッコいいです。


上地: 作品の中で三成自身も成長していかなくてはいけないと思っていました。僕の勝手なイメージは冷静な武将ですが、それを崩すわけじゃないですが、葛藤や欲望、こだわりがあったはず。最後に“のぼう”と向き合った時に、通じるような人間が成立しているように、人として魅力がある三成を演じないと作品がもったいないなって思いましたね。たとえば観ている人が三成かわいそう、そういう感情移入できるような男にしたかったので。

■ 撮影現場のチームワークは最強!! ダブル監督システムに最初はビックリ!?



Q:大人数の撮影現場だったと思いますが、敵味方入り乱れての現場の様子はどうでした?

上地: それこそ旗の揺れ方だけで撮り直しをする、エキストラの皆さんの歩き方、はけ方までこだわって撮り直しをしたこともあったので、こだわりは強かったです。だから、映像の中で皆が生きているような作品になったと思いますね。撮影現場の雰囲気は良くて、緊迫したシーンでは気持ちを作っていましたが、豊臣軍の仲間とはよく話をしていました。


山田: 大変なことは多かったけれど、(佐藤)浩市さんが気を使ってくれて、効率よく撮影するためのアイデアや皆でご飯も連れて行ってくれました。思い返すと、楽しかったです。


Q:犬童監督と樋口監督のダブル演出システムは、実際の現場ではどういう感じでしたか?

上地: いやあ、初めてでしたが、すごくやりやすかった、というわけではないです(笑)。でもお互いにすごく仲がいいから、やりにくいってことでもなくて。最初は分からなかったけれど、お互いの役割がなんとなくあるようで。ただ、樋口さんがOKしても犬童さんがNGみたいなことが何度かあってビックリしました(笑)。言うほどは大変じゃなかったです。


山田: もう2年前のことなので詳しいことまでは覚えてないですが、人間ってだいたい嫌な記憶を忘れていくモノじゃないですか。もしかすると僕の場合も、どっちの指示を聞けばいい、みたいなことはあったかもしれないですが、その記憶は今のところないですね。確かに日本では珍しいシステムでしょうけれど、現場によっては監督がいて、その後ろに口うるさいプロデューサーがずっといるということはあるので、それに比べれば厄介じゃないのかなと(笑)。でも近くで見ていて、映像を確認し合っている感じは面白かったです。


上地: OKが出るまでドキドキしましたね。間があるから(笑)。見ていて面白かったですね。

■ 上地雄輔は、素が石田三成!? 同世代の俳優が共演できることは貴重なこと



Q:今回のように一緒に長い時間を過ごしてみて、改めてお互いに発見などありましたか?

上地: 孝之は昔から知っていて、俳優としても素晴らしい男です。今回4~5回目の共演ですが、大谷役が孝之って聞いて、すごく良かったと思いました。年齢が近い俳優は共演の機会が減っていくと思うので、同世代で一緒の作品に出てすごくうれしいです。


山田: これまで何度も共演していることもあったので、演じやすさはありました。もともと三成の無鉄砲な感じが上地君にもあるので、そこは重ねやすいところですね。昔一緒に朝まで飲み、9時、10時って人の往来が始まりますが、「オレ、散歩して帰る」って言い出して、なんだよ、この人はって(笑)。そういうところも三成と重なっていると思いました。


Q:最後になりますが、『のぼうの城』をファンの方々に届けることの感想をお願いします!

上地: 演じている最中は世に出て当たり前と思っているけれど、自分が演じたものが世に出ていくことは本当にうれしいことです。自分の中の削ったモノを観ていただく仕事なので、いろいろな方々へ「削ったから観てください!」って、言いたい(笑)。お願いします!


山田: 繰り返しですが、親子三世代で楽しめる映画になったので、何度も観てほしいです。


■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

作品情報

『のぼうの城』
2012年11月2日(金)より、全国超拡大ロードショー
配給:東宝、アスミック・エース

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