インタビュー

ひきこもりの兄を救うために若手起業家としてネットビジネスを始める女子大生が、サエない中年男との出会いや、さまざまな出来事を乗り越えて自分自身も成長していく姿を描く、auビデオパス新ドラマ第1弾「コレカラ」。主演の成海璃子、主題歌を歌う高校生シンガーソングライターの家入レオ、そして瀬田なつき監督に、それぞれの立場で本作に込めた想いや反対に自身が受け取ったメッセージ、そして3人の“コレカラ”について聞いた。

■ ポジティブで楽しいストーリーだけれど、意外にリアルだと思いました(成海)


Q:女子大生とサエない中年という異色コンビですが、魅力的なドラマになっていますよね。入口は非現実的なファンタジーですが、現代的なエッセンスも多くてリアルを感じました。


瀬田:そもそも成海さんの魅力が映像にしっかりと映っていれば、そういう特殊な設定のドラマも成立するはず、とシナリオを書いている段階で思っていました。撮っている時もウソがない説得力が生まれればと思って演出と撮影していたので、意識はしていましたね。


Q:由紀は自分の正義で行動を起こす女性でした。演じてみて、作品を観ていかがでしたか?


成海:ポジティブで楽しいストーリーになっていると思いました。撮影のテンポが速かったので撮影中はどうなるか想像できなくて。とにかく走っていたことを覚えています(笑)

瀬田:由紀はとりあえず思い立ったらすぐに行動に移す女の子。その彼女がスピーディーに起こっていく事件の中で、いろいろな人々と出会い、いろいろな表情を見せていくその過程が成長劇になると思いました。

成海:由紀と耕作(温水洋一)は偶然出会うけれど、他人だった人間同士が出会って課題を乗り越えていくことは、仕事の面など現実にもよくあることなので、その意味ではリアルですよね。

瀬田:そうですね。それと、ドラマの最初と最後で似たようなシチュエーションが出てくるのですが、彼女の表情に成長が観えればと思いました。

Q:由紀と耕作の関係は観ていて先が読めない印象を受けるので、斬新な設定だと思いました。心は通じ合っているけれど、恋愛関係には遠そうで、友人関係でもなさそうですよね。

成海:そうですね(笑)。よく同年代の男女で「もういい!」ってケンカする展開は分かるけれど、おじさんと「もう!」とか言っているシーンは、撮影中も「この感じはなんだろう?(笑)」と思っていました。再会するというロマンチックな展開もあって、自分でも新鮮で面白かったです(笑)。

■ 一瞬で表情が変わる演技をする成海さん観て、救われるような想いになりました(家入)


Q:耕作演じる温水さんとキワドイ距離のシーンもありましたが、撮影中はいかがでした?

成海:キワドイ(笑)! たとえば普通は男女の恋愛に発展する流れでも、温水さんとの場合はどうでしょうかね……(笑)。でも顔が近いシーンは、けっこうドキドキしました(笑)。


Q:おせっかいだけれど、行動派で、機転も効く由紀は、成海さんの好演で魅力的ですよね。

家入:観たことがない設定のドラマだったので、すごく楽しかったです。成海さんが主演した『あしたの私のつくり方』(07)を観て過去に救われたことがありますが、その時は凛とした表情で、今回のドラマではおちゃめな表情がかわいくて。素敵だなって思いました。


成海:ありがとう(笑)。

家入:皆の中で浮くことがすごく怖くて、わざと明るくふるまっていたことがあって、自分の存在の仕方に葛藤していた時がありました。その時に『あしたの私のつくり方』(07)を観て、自分自身を肯定する勇気を得ました。その時も今回の作品も、一瞬で表情が変わる演技をする成海さん観て、救われるような想いになりました。本当に素敵だと思います。

Q:撮影現場でディテールを決めることもあったそうで、瀬田監督も救われたそうですね?

瀬田:そうですね(笑)。確かにありました。言いにくい時はセリフを変えたり、シナリオでは歩いている設定の動作も一緒に考えたりしました。正直、成海さんが主演じゃなかったらまったく違う作品になっていたと思う瞬間が何度もあって、すごく信頼して撮影できました。


成海:テンポが速かったので困惑しちゃうような時もあったけれど、監督の、その感じがすごく面白かったです(笑)。瀬田さんの映画はずっと前から観ていて、本当に大好きだったので、今回ご一緒できてうれしかったけれど、自分は監督の世界観にハマッていけるかな? 大丈夫かなって?って、思うことが何度かありました(笑)。でも楽しかったです(笑)。

■ ささやかに背中を押してくれる、かわいい作品になったと思います(瀬田)


Q:さて今回の主題歌となる「イジワルな神様」ですが、どういう想いを詞に込めましたか?

家入:2年前、上京する前の中学生の時に、ある友人にあてて詞を書きました。その子ははっきりとものを言う子でしたが、その当時は皆が正解と言えば、不正解も正解になってしまうようなことが普通にあって、その子には生きにくい環境でした。それで守ってあげたくて、イジワルな神様に邪魔されても守ってあげるよという友人への想いをつづりました。

Q:結果的には今回の「コレカラ」の作風にも合っていたと思いますが、いかがでしょうか?

瀬田:そういう過程があったことを今の今まで知らなかったので、今すぐにでも聴き直したいと思いましたね。ラップ調? になる箇所が好きです。ちょっと今歌えないですが(笑)。

成海:本当に、素敵な曲だなと思いました。わたしも改めて聴き直してみたいと思います。

家入:普段作詞でウソがない詞を心がけていますが、作品に合っているといいですが……。

成海:映画でも飾っているより、ストレートな方がいいですよね? そういうほうが好き!

瀬田:フィクションだとしても、その中には何かしらの真実があったほうがいいですよね。

Q:最後になりますが、タイトルにちなみ、皆さんの“コレカラ”について教えてください。

家入:作品を拝見して、「明日からもう一度頑張ろう!」というメッセージを受け取りました。主題歌の「イジワルな神様」が収録されている3rdシングル「Bless You」がリリースされましたが、もっとわたしの音楽が皆さんに伝わるようにもっともっと頑張りたいです。

瀬田:「コレカラ」は、ささやかに背中を押してくれるかわいい作品になったので観てほしいです。そして、“これから”撮る作品も100年でも200年でも残るように頑張りたいです(笑)。

Q:特に成海さんは20歳を迎えましたね。女優としても“コレカラ”の抱負はいかがですか?

成海:由紀を演じて思ったことですが、ネットビジネスでも、自販機前で温水さんを助けるシーンでも、やろうと思ったことをすぐに行動に移す彼女の姿勢がためになりました。それに最近は、撮影でも1回で決めることがカッコいいと思うようになって、この先も覚悟と責任を持って仕事をする大人でいれればいいなと思います。ちょっと硬派ですね(笑)。

■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

作品情報

ドラマ「コレカラ」
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